アフタヌーンティーに極上スコーン! 未知のしっとり感 ザ・ペニンシュラ東京
連載《hotel TIPS》Vol.8
編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。今回は、ザ・ペニンシュラ東京(東京・千代田)のスコーンを紹介します。 【動画・写真はこちら】1分でわかる! シェフが明かすスコーンのおいしさの秘密
■アフタヌーンティーで知名度アップ
英国発祥のお茶の習慣、アフタヌーンティーが注目を集めたのはコロナ禍の少し前のこと。後に「ヌン活」という言葉も生まれるほどのブームとなり、今ではすっかり日本の午後のシーンに定着した観があります。 特別なスタンドに盛り付けられた、彩り豊かなスイーツやセイボリー(サンドイッチやキッシュなど塩味のおやつ)を、香り高い紅茶とともに味わうひととき。それはそれは優雅で、心も浮き立ちます。一度体験してみれば、衰えることのない人気の理由がわかるでしょう。ファンの裾野を広げようと、今ではホテルやカフェが華やかで個性のあるメニューを競っています。 このアフタヌーンティーに供される代表的なおやつといえば、やっぱりまずはスコーンが挙げられますね。ほんのり温かいものを2つに割って、それぞれに濃厚なクロテッドクリームと甘い香りのジャムをたっぷり乗せて。これだけで食べ応えは十分で、至福の時間を味わえるのです。 スコーンそのものは飾り気のないシンプルさが信条。原料は小麦粉、卵、牛乳、バター、砂糖のクイックブレッドです。ややビスケットに近い、ドライな商品も多くあります。そんななかにあって、ザ・ペニンシュラ東京のスコーンは食べたときの印象がひと味違います。 まずは何もつけずにいただいてみましょう。後を引く口当たりのやわらかさを実感できるはずです。「うちのスコーンは、そのしっとり感に驚かれるお客様が多いんですよ」。こう話すのはベーカリーシェフの井上健将さんです。 しっとりとさせる秘密は何でしょうか。「牛乳の代わりに生クリームを使って仕込んでいるからですね」と井上さん。さらに、粉にバターをなじませ、水分を加えてまとめていく「サブラージュ」の工程では、ミキサーのような機械を使わず、基本通りに両手でさっくりと合わせていきます。 「機械で混ぜすぎるとビスケットのようになってしまうので、手の感覚を大事にしています。手間はかかりますが、こんな手仕事によって、しっとり、ふわっとしたスコーンが生まれるのです」 生地を休ませること約1時間。15分ほど焼き上げたスコーンはオーブンの中でふっくらと立ち上がります。「もともとスコーンには、紅茶を飲ませるための食べ物というイメージが私にもあったのですが、うちのレシピなら一緒に水分をとらなくてもいいぐらいでしょう」