民謡には“ラブソング”が多い? 三味線奏者・浅野祥、民謡の魅力を解説「昔の盆踊りの民謡には“色恋”を歌ったものが結構多いんです」
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。6月30日(日)の放送は、三味線奏者の浅野祥(あさの・しょう)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
◆三味線のスペシャリストの生演奏に大興奮!
1990年生まれ、宮城県仙台市出身で現在34歳の浅野さん。14歳のときに、津軽三味線全国大会 最高峰A部門で優勝。16歳のときに3連覇を達成し、史上最年少で殿堂入りを果たしました。近年は、日本各地の民謡を現代の感覚で作編曲し、次世代へとつなげる活動「MIKAGE PROJECT」のヴォーカル・津軽三味線担当としても活躍しています。 そんな浅野さんが三味線を弾き始めたのは、5歳のとき。「一緒に住んでいた祖父が趣味で三味線や民謡をやっていたので、自然とそういう環境で育ったんです」と振り返ります。 小山から普段どんな音楽を聴いているのか聞かれると、「世界各国の民族音楽が結構好きで。キューバとかコロンビアとか、サルサも好きですけど、個人的に常に聴いているのはブライアン・セッツァーとか。そういうノリノリの音楽が大好きですね」と笑顔で答えます。 これに宇賀からは「(普段聴いている音楽は)三味線とはまた全然違うのかなと思うんですけど、何かインスピレーションがあるんですか?」との質問が。浅野さんは「たとえば、海外公演をするときに、ただ目をつぶって1時間半弾くのではどうしても飽きてしまうというか、伝わりにくい部分もあるのかなと思うので、いろいろなアーティストの音楽やライブパフォーマンスを観てエンターテインメントというものを体に入れるのが好きなんです」と回答します。 浅野さんによると、三味線音楽にはさまざまなジャンルがあり、「例えば、浄瑠璃の義太夫や歌舞伎の長歌とか、浪曲のバックで弾いたり、落語家さんの出囃子とか民謡と本当にたくさんあるんですね。そのなかのひとつが津軽三味線といって、基本的には青森県の津軽民謡を演奏するための三味線という感じです」と説明します。 また、日本には数え切れないぐらいの民謡があるという浅野さん。「例えば、北海道のソーラン節も民謡ですし、天草地方の牛深ハイヤ。あれは、日本のありとあらゆる民謡の元祖になっている歌なんです。分かっているだけでも数万曲あるんですけど、埋もれている民謡もたくさんあると思います」と解説。 さらには、「民謡って古くさいイメージが強いと思うんですけど、ラブソングも非常に多いんです」と浅野さん。というのも、「年に1度の盆踊りって、昔は出会いの場だったり、好きな女性に言い寄る大切な場でもあったと思うので、そういうときに歌われていた民謡は“色恋”を歌ったものが結構多いんです」と話します。 その一例として、浅野さんは、岩手県の民謡「外山節」の一節を生演奏。この民謡の意味について、「『私は日陰のわらびのような存在ですけど、早く世の男たちは私を見つけないと損をしますよ、枯れちゃいますよ』『私は実はダイヤモンドの原石ですよ』みたいな歌ですね。これを宴会で歌っていたんだと思います」と解説すると、宇賀が「面白いですね。いまの歌でもそういう歌詞の曲がありますもんね」と驚く場面も。 さらに浅野さんは、津軽三味線の代表曲のひとつである「津軽じょんがら節」を生演奏してくれました。浅野さんが奏でる迫力の音色に、小山&宇賀は大きな拍手とともに「かっこいい!」と大興奮。