「何度も死のうと思った。死神から逃げたかった」“元ほっしゃん。”の崖っぷちの過去と新たな現在地
役者でも、小説家でもいい。「ずっと表現していたい」
終始、若い世代に対する想いが溢れた星田さんだが、小説を通してエールを送るつもりはないという。 「僕だってわかってないんです。いまも苦しいし、ちょっとずつ削られて行ってます。死神に追っかけられて、逃げて、また追っかけられての繰り返し。年を取ってきて、逃げ足が鈍くなってるし、傷の治りも遅くなってる気がします。 そんな僕だから、本を通して若者にエールを送る気はないんです。ハッピーエンドの物語だとも思ってないし、頑張れっていうのもない。僕ももがいてるんで。ただ、何も言えずに黙っている人の存在を僕は知ってるし、その辛さもわかっているつもりだよと伝えたい」。
最後に、星田さんの今後の抱負も聞いた。 「とにかく打席が欲しいですね。どんな打席でも絶対にヒットを打つ気はあるので。ずっと働いていたいし、ずっと表現していたい。それが僕の願いです。『ほっしゃん。出てたの』って言われるくらい、作品に溶けこむ役者になりたいし、猟奇的な役とかもやってみたいですね」。 ◇ 辛酸を舐めた人は優しいし、時代を正視する人は頼もしい。説得力のある存在が今後も演劇の世界で活躍するのは楽しみだが、庶民の味方であるお笑いの世界でも芸人・星田さんの姿をまた見たい。切に願う。 佐藤ゆたか=写真 ぎぎまき=取材・文
OCEANS編集部