考察『光る君へ』25話 まひろ(吉高由里子)を娶ったとわざわざ報告する宣孝(佐々木蔵之介)、動揺を隠せない道長(柄本佑)
道長と倫子の子どもたち
道長(柄本佑)が倫子(黒木華)との間にもうけた子らが出てきた。長男の田鶴(小林篤弘)──のちの頼通。次女・妍子(きよこ/原春奈)と、せ君(加藤侑大)と呼ばれているのは、おそらくのちの教通。子ども達が道長に抱っこをせがむ場面に心温まる。 ここには道長の長女だけがいない。そう、彰子は抱っこをせがむような年齢ではない、もう少女……10歳くらいになっている筈だ。 道長のプライベートの場、家族と話すときのリラックスした喋り方がよい。姉・詮子(吉田羊)と我が子たちとの会話の声のトーンや間(ま)は、明らかに他の人物と会話する場面と違う。柄本佑の細やかな演技が楽しい。
それぞれの「いい人」
まひろが都の自宅に帰ってきた。いと(信川清順)と惟規(高杉真宙)久しぶり! 無事でよかった。さわ(野村麻純)の死があったので、気が気ではなかった。で、そこから覗いている男性。まひろと一緒に「……だれ?」 えっ。えっ、えっ。いとの「いい人」!? 福丸(勢登健雄)……他に妻がいる男、それでもふたりでいるときはまるで夫婦のように息が合っている。 そして、まひろが船で琵琶湖を渡る場面から一緒に乗っている若い女性が気になっていたが……乙丸にも「いい人」!!! 丈夫そうで可愛い、きぬ(蔵下穂波)。お互い、旅の疲れを優しく気遣っている。よかったねえ。 まひろ「世話になった人には幸せになってもらいたい」 視聴者として同じ思いですよ……いとと乙丸が幸せなのは嬉しい。 まひろの帰京を聞きつけて、さっそく宣孝がすっ飛んできた。 夜の祝宴で宣孝が歌うのは『催馬楽』(さいばら/平安時代の風俗歌)の一曲、『河口』だ。 河口の関の新垣や守れども はれ守れども 出でて我寝ぬや…… (河口の関の新垣よ、守っていても、それ守っていてもだね、抜け出して私は寝てしまったのだよ ※娘をしっかり守っているつもりでも、娘はこっそり男と寝てしまったのだ) 歌いながらまひろを指す。歌詞は訳のとおり、ちょっとスケベなものなのだ。 困ったように微笑む、まひろ……その様子を見て「!そういうこと!?」と気づく惟規。 この歌は『源氏物語』第三十三帖「藤葉裏」で引用される。親の目を盗んで思いを交わしていた恋人同士……夕霧と雲居の雁が、晴れて公に結ばれる場面の会話でだ。