イスラエル首相に逆風強まる、戦時内閣主要メンバーが早期総選挙主張
(ブルームバーグ): イスラエル戦時内閣のメンバーであるガンツ前国防相が早期総選挙を主張した。政権に対する国内の抗議とパレスチナ自治区ガザでの戦争を巡る国際的な反発に直面するネタニヤフ首相に、逆風が強まっている。
ネタニヤフ氏の支持率が急落する一方で、ガンツ氏は急上昇している。これを見て取ったガンツ氏は、総選挙を予定されている2026年ではなく今年9月に実施すべきだと呼び掛けた。
国家団結党を率いるガンツ氏は3日遅くにテルアビブで開いた記者会見で、「今後の困難を乗り越えるため」早期総選挙が必要だと発言。「われわれが近く国民の信を問うことになるのか、イスラエルの市民は知る必要がある」と続けた。
ネタニヤフ氏が党首の与党リクードは発言を批判し、近い将来の総選挙は「まひと分断を招き」、「人質解放取引の実現可能性に致命的な打撃」になると反発した。
ガンツ氏が戦時内閣から離脱するとしても、リクードとユダヤ教超正統派宗教政党、極右政党などで構成する連立与党はかろうじて議会過半数を維持できるため、ネタニヤフ政権が必ずしも崩壊するとは限らない。
それでも、ガンツ氏離脱ならネタニヤフ氏の地位は弱体化する。
イスラエル国内の政争が激化する一方で、同国と米国など主要同盟国との関係は緊張の一途をたどる。ユダヤ系として最高位の米議員であるシューマー上院院内総務は先月、ネタニヤフ氏が「道を見失った」とし、将来を決定するためイスラエルには選挙が必要だと呼び掛けた。
イスラエルの主要株式指数は現地時間4日午後0時10分時点で1.8%安と下落。年初来では依然4%程度上昇している。国内政治に加え、市場では同国とイランの緊張激化も懸念されている。イスラエルは1日、シリアのイラン領事館をミサイルで攻撃し、イランは報復すると宣言した。
関連記事
原題:Pressure on Netanyahu Grows After Gantz Demands Election (1)(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Galit Altstein