産業界の懸念払拭へ米政府に対応を強く求める=USスチール買収禁止で石破首相
Kentaro Sugiyama [東京 6日 ロイター] - 石破茂首相は6日の年頭会見で、バイデン米大統領が日本製鉄によるUSスチール買収を禁止し、日本の産業界から今後の日米間の投資に懸念の声が上がっていることについて「政府として重く受け止めざるを得ない」と述べた。個別企業の経営に関する案件にコメントするのは控えるとしつつ、米政府には懸念払拭に向けた対応を強く求めたいと語った。 石破首相は、買収になぜ安全保障上の懸念があるのか、米側から「きちんと述べてもらわなければ、これからの話し合いにならない。いかに同盟国であろうと、今後の関係においてその点は非常に重要と考えている」と述べた。 トランプ次期大統領との会談については、現時点ではまだ確定していないという。「最もふさわしい時期にふさわしい形でそれが実現するよう調整している」と語った。 <「令和の日本列島改造」> 首相は、かつて田中角栄・元首相が唱えた「日本列島改造」は、道路や鉄道、通信網などハード面のインフラ整備を起点として人の流れを生み出し、国土の均衡ある発展の実現を目指した、と指摘。一方、石破政権が取り組む「地方創生2.0」は、ハード面のインフラを基盤にしつつ、ソフト面の魅力が人の流れを生み出すと説明。それぞれの地域の具体的な取り組みを全国に発信し、「いわば令和の列島改造として大胆な変革を起こしていく」と強調した。 首相は改めて「コストカット型の経済から高付加価値創出型の経済に移行することで賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現する」と述べた。 昨年の政労使の意見交換では、関係者に大幅な賃上げの協力を要請した、と説明。最低賃金を2020年代に全国平均1500円に引き上げる高い目標の実現に向けて、政府も最大限の対応策を講じていくと語った。 石破政権は少数与党の難しい国会運営を強いられているが、現時点で野党との連立について「考えているわけではない。大連立を考えているわけでもない」と否定した。