ラグビーの日本選手権、来季から大学枠撤廃決定の賛否
日本ラグビー協会は18日、2017年度以降の日本選手権に大学チームが出場しないことを理事会で最終決議。これに伴い翌年からの同大会は、国内最高峰トップリーグの総合順位決定トーナメント(事実上のトップリーグプレーオフ)を兼ねる。 1963年度に発足した日本選手権では、翌64年度から社会人王者と学生が一騎打ちしていた。早大、日体学、明学、慶大などが日本一を経験も、大学勢の優勝は第25回大会(1987年度)の早大が最後。第32回大会(1994年度)では学生王者の大東文化大学が神戸製鋼に14-102と惨敗した。日本選手権のあり方が見直され出場枠を拡大した第35回大会(1997年度)からは、社会人チーム同士の決勝が続いていた。「学生対社会人」の実力格差は、歴史的に議論を呼んではいた。だが、今回、日本協会が大学枠の撤廃に踏み切った真の理由は、2019年の日本開催となるワールドカップを見据えたトップクラスの選手の体調管理だろう。 トップリーグに所属する日本代表選手は、過酷なスケジュールのため、休養を取るのが難しくコンディション管理に苦慮していた。2016年からは国際リーグのスーパーラグビーに日本のサンウルブズが加わり、列強国のクラブとの対峙でフィジカリティやスキルを高める傍ら、心身の疲れを暗に示す選手が続出した。 例えば、そのサンウルブズの堀江翔太主将は、地獄のキャンプと、最高潮を迎えたワールドカップ(日本代表の副将として参戦)を終えて、なおふたつのラグビーシーズンを掛け持ちするという状況下。ワールドカップ自国大会を2019年に控え、イングランド大会時の主将、東芝のリーチ マイケルとて、スーパーラグビーのチーフスにも在籍しながら「2019年へピークをもっていきたい」と昨秋の代表活動を辞退していた。 2019年のワールドカップ日本大会に向け代表チームのコンディションを万全に整えるため選手に休みを与えたい。かといって、他国のチームと戦うスーパーラグビーの日程は変えられない。では、国内のシーズンを短縮させよう…。今回の発想の、それが原点である。 想定される2017年度のスケジュールに沿えば、学生ラグビー界は、1月上旬までに大学選手権を終わらせる一方、トップリーグは12月末までに変則リーグ戦に臨み、1月にプレーオフ兼日本選手権へ突入。1月中旬には国内シーズンの全日程がシャットダウンする。スーパーラグビー開幕の2月下旬までの間に、以前より2週間ほど多く空きができるのだ。確かに合理的には映る。 もっとも今度の決断にはかなりのリスクがある。