母親の「スマホ依存」に警鐘! 赤ちゃんへの語りかけ減少・“言語発達”リスクに
乳児への語りかけの重要性は?
編集部: 乳児への語りかけがスマホの使用時に16%減少することが今回の研究で明らかになったのですが、母親による乳児への語りかけはどの程度重要なことなのでしょうか? 山田先生: 赤ちゃんは、胎児期から母親の声を他人とは聞き分けることができ、脈拍が速くなる(喜んでいる?)ことがわかっています。 研究対象の赤ちゃんは平均4カ月とのことだったので、声かけをされても会話ができる時期ではないものの、1カ月時点で既に親との間に音や身振りを使ったリズミカルなやりとりが始まります。 2カ月からは会話のような交互のやりとりに進化し、やがて社会性を手に入れる準備が始まって、9カ月以降は自他を区別し、相手の意図や感情を理解するようになります。 母親の声は赤ちゃんにとって安心して聞き取りやすく、赤ちゃんが聞き取りやすい発話を自然にする能力が備えられており、その後の子どもの獲得語彙数に影響してくることが判明しています。
研究グループが発表した内容への受け止めは?
編集部: アメリカのテキサス大学オースティン校らの研究グループによる発表への受け止めを教えてください。 山田先生: 子どもの代弁者たる小児科医の立場として興味深い研究であり、母親の声かけを16%失った赤ちゃんの顔を思い浮かべると切ないと感じました。 ただ、現代においてスマホを含むインターネットのない生活は、親どころか祖父母の世代でさえ想像し難いですし、赤ちゃんを持つお母さんも育児に必要な知識を集めようとして、それこそこの記事もスマホで読まれていることでしょう。 今回の研究が子を持つ母親のちょっとした気づきになれば十分かなと思います。
まとめ
アメリカのテキサス大学オースティン校らの研究グループは、「親がスマホを使っているとき、乳児への語りかけが16%減少している」と発表しました。 研究グループはメッセージングや電話などの特定のスマホの使用と、食事中や遊びの最中など異なる状況でのスマホの使用が、親の子どもへの語りかけに与える影響を調べる必要を指摘しているので、今後の研究報告にも注目が集まりそうです。
【この記事の監修医師】 山田 克彦 先生(佐世保中央病院) 大分医科大学(現・大分大学)医学部卒業。現在は「佐世保中央病院」勤務。専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接。日本小児科学会専門医・指導医、日本循環器学会専門医。
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