会社のルールで「残業代」は15分ごとの支給です。ただ毎日10分ほど「必須の残業」が発生するのですが、それでも残業代は“切り捨て”になりますか?
残業代は支払われるけれど、「15分未満の残業は切り捨てられる」という話を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。 15分以内の残業がたまに発生するくらいならまだ許容できるかもしれませんが、毎日必ず朝礼のために10分早く出社する、終業後の片付けに10分かかり退社が遅くなる、または上司が終業後に10分くらいかかる業務を常に指示してくるといった具合に、毎日のように10分程度の残業が必須の場合、「15分未満は切り捨て」のルールにのっとって残業代は支払われず、モヤモヤしてしまう人もいるでしょう。 それでも、「就業規則で決まっているから」と言われたら納得するしかないのでしょうか? 本記事では、就業規則で決まっていれば、15分以内の残業代をもらうことはできないのか、残業代の切り捨てが認められているのかについて紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
残業代は1分単位で支払わないと違法
結論からいえば、労働基準法により、会社は残業代を1分単位で支払わなければなりません。したがって、「15分未満は切り捨て」というルールのもと、10分の残業なら残業代0、25分の残業なら15分の残業代支給といった具合に、15分未満を切り捨てて残業代を計算することは違法です。 なお、月の残業代を計算する際に、「30分未満を切り捨て(4時間25分の残業を4時間で計算)」することは許されていますが、反対に「30分以上1時間未満の部分は切り上げ(4時間35分の残業を5時間として計算)」なければなりません。 認められているのは「月の残業代を四捨五入」することのみであり、1日の残業時間は1分単位でカウントすることが求められます。 ■就業規則で決められている場合は? 法律では1分単位で計算しなければならないと確認しましたが、会社から「就業規則で決められている。雇用契約書にサインもしているよね?」と言われた場合はどうでしょう? 「就業規則に書いてあるなら諦めるしかない」と思うかもしれませんが、それは違います。 就業規則よりも優先されるのが法律です。「残業時間は1分単位で計算する、切り捨ててはならない」というルールを破る就業規則は無効とされています。 したがって、仮に15分以内の残業時間を切り捨てるという就業規則が存在しても、10分間の残業代をもらう権利があるのです。