「一人で食事」は子どもの学力に悪影響!? 東大准教授が明かす「食事と成績」の意外な関係性
これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口利恵先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれません。 今回は、「孤食と学力の関係性」について、お話しします。 【前回を読む】勉強がどんどん身に付く、脳の“ゴールデンエイジ”っていつ? 前回、学力のゴールデンエイジの話をしました。 脳の発達の観点で話をしましたが、家族の習慣によって学力にどんな影響があるのかということについて、食事と関係する研究があるので、ご紹介したいと思います。
「孤食」が子どもの学力に影響を及ぼす
最近は共働きの家庭も増えてきたので、食事をひとりでしなければいけない子どもは多いでしょう。 家庭の事情で、どうしてもひとりで食事をしなければならないことはあると思います。しかしこのひとりでご飯を食べるという「孤食」が、子どもの学力に大きな影響を及ぼすということが最近の研究でわかってきました。 つまり親と一緒にご飯を食べるほうが、子どもにとっていい影響があることがわかっています。 単純に言うと、孤食をする子どもの多くは朝ごはんを食べなかったり、寝不足の傾向が多く、親と一緒に共食をする子の多くは、生活習慣が良好であるということがわかっています。 お手伝いをしたり、好き嫌いのない子どもが多いのも、親と一緒に食事をする子どもだと言われています。
仕事の関係でやむをえず孤食になってしまう場合は
孤食は、どうしても間食が多くなってしまったり、食生活の乱れへとつながります。 一方で、親の仕事の関係でやむを得なく孤食になってしまう家庭もあると思います。 子どもに孤食のマイナスイメージを与えてしまうと、より悪い影響を及ぼすと言われています。普段は孤食になってしまう場合でも、例えば休日など別の日に一緒に食事をするといいでしょう。そのときに、子どもと長い時間話をすることで、プラスの効果が得られる可能性もあります。
親とのコミュニケーションが学力アップのカギ
いろいろな書物を読むと、最低でも週に1回は食事を共にしながら親子の会話を充実させ、その週にあったことや子どもの気持ちを聞き出すことで、学力は伸びると言われています。 朝食だけでも子どもと一緒にとることによって、こういった会話もできると思います。 孤食はひとつの問題ですが、どうしてもやむをえない場合については、それ以外の部分でいかに子どもとコミュニケーションを取っていけるかが大切になってきます。 ちなみに親との食事の回数が増えれば増えるほど、働く親への憧れが強くなり、働くことをポジティブに捉える傾向になるそうですよ。
【Profile】山口利恵
7歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターの特任准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。