第2期後の復興財源、制度 国の責任で維持拡充を 福島県議会、政府に意見書提出へ
一部復興施策の見直し検討が指摘された政府の行政事業レビューなどを受け、福島県議会が第2期復興・創生期間後も福島県復興に関わる財源や制度などを維持・拡充するよう国に求める意見書を政府と国会に提出する見通しとなった。最大会派の自民党と第2会派の県民連合が開会中の12月定例会での取りまとめに向け、9日までにそれぞれ意見書案を作成した。復興が道半ばの現状を訴え、国の責任による取り組みを改めて要請する形となり、要望や意見書検討の動きは市町村にも広がっている。 自民党の意見書案では、与党第13次提言を踏まえ2期後の十分な復興財源と枠組み、支援制度の確保を要望。特に、被災地の生活環境整備や営農再開、企業誘致の促進などの必要性を訴え、現行の枠組みや予算を保つよう求めるとともに新たな課題に対応する場合は制度の拡充など柔軟な対応も提言している。レビューなどに対しても「早期の幕引きや終期を前提とした議論は断じて許されない」と厳しい姿勢を示している。
県民連合の作成した意見書案では、2026(令和8)年度以降も第2期と同規模の復興事業の支援を要請するとともに助成や補助事業の継続、福島県の現状を把握した上での的確な対応を求めている。発生から13年9カ月を迎える中で「風化が加速度的に進んでいる」と強調。地域課題が個別化・複雑化するなど福島県復興の難しさを挙げ、政府の事業点検で見直しが示唆されている点については「時期尚早」と断じている。 各意見書案は慣例で18日の12月定例会最終本会議で採決される見込みだ。自民、県民連合の両会派以外の各会派はそれぞれの意見書の内容を精査した上で採決で賛成するかを判断するとみられる。 政府の行政事業レビューや復興推進委員会の作業部会の議論では、2期後に向け、福島再生加速化交付金や自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金、福島生活環境整備・帰還再生加速事業に対して事業の絞り込みや地元負担の導入など見直しに向けた検討が提案された。県議会各会派とも福島県復興は途上との認識で一致する中、県民の代表として福島県の実情を伝え、復興事業全般の維持を訴える必要があると判断したもようだ。