米国が北京五輪“外交ボイコット”を正式発表…選手団は参加も海外メディアは1980年モスクワ五輪の完全ボイコットの過去を紹介
米国政府は6日(日本時間7日)、来年2月の北京冬季五輪へ公式使節団を派遣しない“外交ボイコット”を行うことを正式に発表した。選手団については派遣する方向。新疆ウイグル自治区でのジェノサイド、人権侵害が理由とされたが、政府高官との不倫問題を暴露した女子テニスプレーヤー彭帥さんの安否を巡る騒動などがボイコットの背景にある。正式発表を前にCNNがジョー・バイデン大統領が決断したという情報をすっぱぬき、中国の報道官は、その米国の姿勢を非難して「もしアメリカが独断専行するならば、中国は必ず断固たる対抗措置をとる」との声明を発表していた。海外メディアはトップニュースで米国の外交ボイコットを報じた。 USAトゥデイ紙は「『進行中のジェノサイド』に言及し、バイデン政権が2022年の北京五輪の外交ボイコットを発表」との見出しを取り「バイデン政権は、人権虐待で中国を強く非難する目的で『外交ボイコット』に乗り出し、北京での2022年冬季五輪で米国の公式使節団を送らないと明かした」と伝えた。 記事は「この決定は地政学的な大きなねじれを示し、ワシントンDCと北京の間で増している緊張の中でもたらされている。米国は、これまで五輪の開会式や閉会式といった行事には、現職の副大統領やファーストレディら高位職の要人を慣例的に送ってきた。ファーストレディのジル・バイデン夫人は今年の夏に東京で行われた夏季五輪に米国代表団を率いて参加している」と説明。 さらに「米国の同盟国がホワイトハウスの立場に従うかはすぐには明らかにされていない。オーストラリア、カナダ、英国は来年2月4日に始まる五輪大会で外交ボイコットを検討していると明かした国々となる」と続け、外交ボイコットが米国だけでは終わらない可能性を示唆した。 記事は「過去の五輪ボイコット」についても触れ、「米国アスリートたちは、ソビエト連邦がアフガニスタンに侵攻した後に制裁としてボイコットを検討したジミー・カーター大統領の圧力により、モスクワでの1980年夏季五輪参加を拒否した。このボイコットは何十もの国が米国に加わり、ソビエト連邦は、ロサンゼルスでの1984年夏季五輪へのボイコットで応酬した」と、日本も不参加となった1980年のモスクワ五輪を紹介した。