米国が北京五輪“外交ボイコット”を正式発表…選手団は参加も海外メディアは1980年モスクワ五輪の完全ボイコットの過去を紹介
「(その際)ボイコットの決定に多くの米国アスリートたちが憤慨し、一部のグループは米国オリンピック委員会に決定を覆すべく訴訟を起こした。2014年には、当時のバラク・オバマ大統領が、ロシアの反同性愛法への抗議を理由に、ソチ冬季五輪大会へ副大統領、ファーストレディ、政権閣僚を送ることを拒否した。代わりに米国代表団には同性愛を公表したアスリート2人が加わった」と、外交ボイコットは2014年のソチ五輪でも行われたことを記した。 英国のガーディアン紙も、米国の外交ボイコットを報じ、「ホワイトハウスがすでに両国にある緊張関係の中で、不和をさらに広げることになる新たな動きとして北京での2022年冬季五輪で外交ボイコットを実施すると認めた。この発表は大会が始まる2カ月前に発せられた。バイデン政権は、北京に閣僚代表団を送らないが、米国のアスリートたちは依然として五輪で競うと考えられている」などと伝えた。 同紙も過去の例として米国など64ヵ国と地域が選手団も送らずに完全にボイコットした1980年のモスクワ五輪を紹介。今回の外交ボイコットの背景として、中国の人権問題や女子テニス選手の彭帥を巡っての騒動があることを説明した上で、「米国の外交ボイコットは中国と西側の多くの国々の間で緊張が増す中でもたらされる。米国からオーストラリアといった国々は(問題が起きて以来)彭帥さんの安全の保証を中国政府に求め、女子テニス協会は中国で開催される大会を中止する発表を先週行った。人権団体も北京五輪をボイコットするように国際社会に求める機会と捉えている」と続けた。 そして英国、オーストラリアの動きについて「英国外務省は月曜日、北京冬季五輪での政府出席については『何も決定に至っていない』と明かした。オーストラリアのスコット・モリソン首相は政府が『これらのことに考慮し問題に取り組む』と語った」と付け加えた。 カナダのグローブアンドメール紙は、「バイデン大統領が北京での冬季五輪外交ボイコットを命じ、中国政府と民主主義の国々の間で緊張が高まっている。カナダも五輪の外交ボイコットを検討しているが、まだ決定していない」と伝えた。 「先週、カナダ、米国やその他の緊密な同盟国は五輪を前にして国連で中国に外交的な冷遇措置を行った」とし、五輪主催国やその他の国連加盟国すべてが参加する慣例となっているオリンピック休戦決議の決議案に加わらなかったことを紹介した。 米国の正式決定を受けて、今後、中国がどう対応するか。また日本を含めた西側諸国が米国の決定に追随するのかに注目が集まる。また外交ボイコットが選手団も含めた大会ボイコットにつながる可能性も懸念されているが、NBCニュースは「(米政府は)アスリートを参加させないことで彼ら(中国)を『罰する』ことは望んでいない」との見方を示している。