なぜ「デジタルサイネージメディア」は話題になる? 注目事例と未来展望
また、注文額に応じたゲームも楽しめるなど、大人から子どもまで楽しめる仕掛けを多数搭載。このようなエンターテイメント性のある新たな店舗体験の提供は、総合的な顧客満足度の向上に貢献するのではないでしょうか。
デジタルサイネージメディアが提供できる体験価値とは
これら2つの事例を通して伝えたいことは、「デジタルサイネージメディアだからこそ提供できる体験価値がある」ということです。 街や空間を巻き込んだ施策は、リアルな体験を通して、人々の印象に深く残ります。また、手元のスマートフォンで普段目にするパーソナライズされた広告とは異なり、街中や店舗内など、パブリックな環境で視認したコンテンツには特別感があり、体験として長く記憶に留まります。短期的なコンバージョン効果はさほどではないかもしれませんが、後日、友人や家族、同僚との会話で話題になったり、SNSでシェアしたりするなど、中長期的な広告効果は高いと言えます。 実際に、ニューステクノロジーが運営しているタクシーサイネージメディア「GROWTH」では、経営者や企業の担当者が登場するインタビューコンテンツを放映していますが、見かけた友人が車内で撮影し、FacebookやInstagramのストーリー、Xなどで投稿するといった行動がよく見受けられます。そこから発生したコミュニケーションをきっかけに、コンタクトをとるようになり、仕事につながったという話も耳にします。 これは、タクシーという「公共性の高い環境で放映された情報」であることが、大きなポイントだと考えています。自分の知人が、パブリックな場所にあるデジタルサイネージに識者として映っているというのは、テレビ番組出演に近しい高揚感をもたらすのではないでしょうか。その高揚感から、思わずSNSなどの他メディアに投稿するという行動を誘発し、情報を拡散させるのだと思います。 そうした生活者の心の動きを踏まえて、デジタルサイネージメディアの価値を最大化するには、その空間に存在する人々の属性やシチュエーションを考慮したコンテンツを設計し、心に残る体験を提供することが非常に重要です。