【トリリオンゲーム】成田修造氏が教える、事業が大成功する「チーム作り」の秘密
ビジネスを始める際に最も重要で、また成功のカギともなるのが人材・チーム作りだ。マンガ『トリリオンゲーム』に登場するスタートアップ企業(トリリオンゲーム社)も、チームリーダーのハルを筆頭に多彩な能力を有する。異能集団を作ることが肝になるのだが、人材のタイプにはあるセオリーがあるという。そこで今回、起業家でエンジェル投資家の成田 修造氏が、トリリオンゲームをヒントに、「チーム作り」の秘密について解説する。なお記事末尾では、記事にも関連する、マンガ『トリリオンゲーム』のワンシーン(計13ページ)を無料で閲覧できるため、ぜひ一読いただきたい。 【詳細な図や写真】【ちょい読み】マンガ『トリリオンゲーム』第2巻、計13ページ掲載(C)稲垣理一郎・池上遼一/小学館
スタートアップに必須の「3タイプの人材」
ビジネスを立ち上げたり、拡大するときに一番の重要テーマ、かつ一番の難題になるのが、チーム作りだ。 ベンチャービジネスの聖地シリコンバレーでは、「スタートアップには(1)ハスラー、(2)ハッカー、(3)ヒップスターが必要だ」と言われる。詳しくは以下の通りだ。 ハスラー:ビジョンを示し、どんな困難があっても前を向く行動力抜群のリーダー ハッカー:ハスラーのビジョンを技術で実現させる力を持つ優れたエンジニア ヒップスター:ビジョンと技術を優れたデザインにまとめ上げるクリエイター つまり、ベンチャー企業を作り、拡大させるためには、このようなさまざまな能力を持つ異能集団を作る必要があるのだ。マンガ『トリリオンゲーム』におけるチーム作りも、まさにこのセオリーに沿っている。
トリリオンゲームの「面白いチーム作り」
創業者でありチームリーダーであるハルは、まさに生来のハスラー人材。「100兆円企業を作る」という最終到達点を示し、どんな局面でも物おじせず、圧倒的な行動力とひらめきと強運でひたすらにチームを鼓舞して事業を推進する。 共同創業者であるガクは、生粋のハッカー人材。コンピューターサイエンスの幅広い知見と凄まじい実装力。彼の手にかかれば数日もあれば1つのプロダクトを作れてしまう。ハッキングだってお手のもの。トリリオンゲームの作中でも幾度か登場するこのハッキング(Hacking)こそ、ハッカー(Hacker)の語源である。 まずこの2人でチームを立ち上げてる点が、ベンチャー企業立ち上げのセオリーに完璧にハマっている。何も考えてなさそうで、自分と真反対、でも絶対に必要なガクを無理やりでも創業メンバーにしてしまうハルの慧眼と人間的力量には脱帽である。 また、トリリオンゲームでは、この創業メンバー以外にも面白いチーム作りをしている。 3人目として入社し、まさかの社長に任命される高橋凜々。 この人材は新卒にも関わらず緻密なデータ収集、お金の管理、丁寧な人的コミュニケーションを得意とし、ハルもガクも苦手とする領域を見事に補完している。 それでいてどんなに忙しくても、弱音を吐かず会社の成功を信じ続ける胆力があり、この点ではハルとガクと共通の強さを持っている。このような人材を3人目として仲間に入れていくあたりも、ハルの独特の経営センスを感じさせる。 会社の方向性(ミッションやビジョン)には共感しながらも、会社として必要な能力を補完できるような人材を集めること。これができたチームは、より成功に近づいていく。 自分とは違う能力を持つ異能人材が集まり、途中たくさんの対立を起こしながらも1つの製品やサービスに昇華させ、事業としても成功させること。これが、ビジネス成功の肝であり、事業作りの面白さの源泉である。