国をあげての〈新NISA〉フィーバーだが…経済ジャーナリストが警鐘を鳴らす「長期投資なら大丈夫」の裏に潜む“見過ごせないリスク”
「将来に備えた投資」が意味する“危うさ”
「長期投資をしましょう」ということで、銀行の窓口で投資信託を勧められた方は多いのではないでしょうか。 ただ、皆さんが買った長期投資用の投資信託を運用しているファンドマネージャーの中で、本気で長期投資を考えている人は、どれくらいいるのでしょうか。 たぶん、ほとんどいないのではないかと思います。 なぜなら、ほとんどのファンドマネージャーは3ヶ月単位で運用成績を評価されます。まれに6ヶ月のケースもありますが、その時に成績が悪いと、外資系などではクビになってしまうところもあります。 そんな環境にある人たちが、今はダメでも将来的には伸びる可能性があるなどという金融商品を投資信託に組み込むでしょうか。運用する人は、3ヶ月先を見据えた短期勝負しかできない環境なのです。 30年後には、担当者はすでに退職している… では、なぜ金融機関にいくと「長期投資」を勧められるのでしょうか。 たぶん、「どうなるかわかりませんが、短期で見るといい投資です」という言葉よりも、「これは将来に備えた長期投資です」という言葉に、多くの人が魅力を感じるからではないでしょうか。 しかも、30年後に「ぜんぜん良くなっていないじゃないか」と文句を言われても、担当者はすでに会社を退職してしまっているでしょう。 そうしたリスクのある商品だということを肝に銘じておかなければならないのです。 荻原 博子 経済ジャーナリスト
荻原 博子