『人食いバクテリア』の実態は『人食わせバクテリア』ってどういうこと?致死率30%前後...城戸康年教授に聞いた最新情報わかりやすく解説「この病気だけをことさらに怖がる必要はない」
ではなぜ司令官・免疫は間違えてしまうのかという点です。はっきりわかっていないことが多いということですが、これではないかと言われていることがあります。 まずは白血球の血液型です。よく言われるA・B・O・ABというのは赤血球の血液型。一方で白血球にも血液型があり、その種類はほぼ全員がバラバラというぐらい種類があるそうです。この白血球に細菌に対する相性があるということです。そのため、統一した治療も難しいのだということです。
また司令官である免疫も老化するのだといいます。細菌に対してこの戦力で戦おう、その見極める力が老化するというのです。そういう原因だからこそ、子どもや若い人は劇症化しにくいのではないか、とみられています。
そして細菌側の話。今回でいうと溶連菌側にも新変異株が出てきているということで、それがイギリスで発見された新変異株M1UK。新とついていますが発見は10年ほど前だそうです。このM1UKには過剰反応してしまいがちということがわかってきているそうですが、一方で、このM1UKが入ったからといって全員が過剰防衛もしないのだそうです。そのためこれが悪いとも今のところまだはっきりはしていないということです。 日本でもこの溶連菌が確認されていて、従来の溶連菌の4割ぐらいは入れ替わっているのではないかということです。これがリスクが高い溶連菌だとすると、これが増えている原因かもしれませんが、今年急激に増えているはっきりした理由はわかっていません。 コロナで免疫に何か変化があったのではないかなど、様々なことが言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。新変異株M1UKのせいかどうかも、そもそも劇症型溶連菌という特定の溶連菌があるのか、普通の溶連菌が人によっては劇症型になるのかも、今ははっきりはしていません。
誰でもできる予防法とは?
そうした中で対策はあるのでしょうか。 誰でもできる予防法として、まずは粘膜と傷口をしっかりケアしましょう、けがをしないようにしましょう、ということです。けがをしたときには、水などで洗う・消毒する・絆創膏などを貼る、などです。 見落としがちなのが水虫だそうです。水虫は傷であるため、細菌が侵入するきっかけとなります。城戸教授は、水虫ぐらい痒いのを我慢すればいいやと放置している人が多いが、リスクをはらんでいると話します。皮膚は強いバリアで、溶連菌はどこにでもいるが、皮膚から入らなければ何も起きないということです。また劇症型溶連菌は歩いているだけで人から感染するような恐ろしい病気ではないとも城戸教授は話しています。 そして、もう1つの予防は、免疫を下げないための規則正しい生活。適切な睡眠・食事・そしてストレスのない元気な生活をするのが一番だということです。過剰に恐れることなく、劇症型溶連菌について知った上で、向き合っていく必要があります。 (2024年6月11日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)