『人食いバクテリア』の実態は『人食わせバクテリア』ってどういうこと?致死率30%前後...城戸康年教授に聞いた最新情報わかりやすく解説「この病気だけをことさらに怖がる必要はない」
怖いのは症状の進行スピード…半日で死に至るケースも
その怖さは症状の進行が非常に急激かつ劇的であることです。例えば、指先の第1関節の傷口などから溶連菌が入ったとして、手全体が壊死してしまうのが3~4時間、腕全体に広がるのが5~6時間、半日で敗血症や多臓器不全などで死に至ってしまうケースがあるということです。
治療としては抗菌薬が効くそうですが、症状の進行が早すぎて間に合わず、切除や切開が必要になってしまうことがあるそうです。 症状が出た際に、様子を見て…としてしまうと危険な状況に陥ります。腫れが1時間単位でこれほど広がる病気は他にあまりない上に、痛み・高熱が出たりうなされたりすることもあるそうで、そうした症状が出た場合はすぐに救急車を呼んで病院に行くことが大事だということです。
ワクチンで予防できないの?細菌とウイルスの違い
ここで細菌とウイルスの違いについて見ていきます。 同じような病気を引き起こすものだと感じますが大きな違いがあります。大きさは、細菌が約1~10マイクロメートル、ウイルスは約0.1マイクロメートルです。そして単独で増殖するのが細菌の怖いところですが、ウイルスは単独では増殖はできず生物の細胞に入り込んで細胞が増えるのに合わせて増えていきます。
細菌への対処は、歴史的にワクチンより抗菌薬が多く作られてきて、抗菌薬があるためにワクチンはなかなか開発されないという現状があるそうです。一方でウイルスに関してはワクチンが比較的多く開発されています。 細菌の場合は膿が出やすく、医師はのどの膿の出方を見て、これは溶連菌ぽいな…とわかり、検査すれば判断ができるということだそうです。
「致死率が最も高い感染症の一つ」
次に劇症型溶連菌の致死率についてです。よく致死率が高いとされるエボラウイルスが50%前後で、この劇症型溶連菌は30%前後とされていて、城戸教授は「致死率が最も高い感染症の一つ」と話しています。ちなみにインフルエンザ(60歳未満)で致死率は0.01%です。 この劇症型溶連菌の30%前後という数字は、感染がわかって死亡した人を数えるため、分母の数が正確に把握しにくいそうで、実際にはもっと高い可能性もあり、致死率がはっきりわからない怖さもあるということです。