『人食いバクテリア』の実態は『人食わせバクテリア』ってどういうこと?致死率30%前後...城戸康年教授に聞いた最新情報わかりやすく解説「この病気だけをことさらに怖がる必要はない」
年齢にも特徴があります。国立感染症研究所が公表しているデータから、今年の劇症型溶連菌感染症の国内感染者を年齢別で見てみると、明らかに高齢者が多くなっています。死亡率も高齢者の方が高くなっていて、30代17.5%に対して、80代は27.9%です。若い人も感染していますが、20代以下で亡くなっている人はいないということです。 ただし、城戸教授によりますと、劇症型溶連菌は年間1000人2000人が感染してその半数近くが亡くなる怖い病気ですが、こういった病気は他にも多くあり、この病気だけをことさらに怖がる必要はないということです。
実態は『人食わせバクテリア』その仕組み
劇症型溶連菌はどのようなメカニズムで発症するのでしょうか。まだわかっていないことも多いということですが、今わかっている範囲のことをお伝えします。この溶連菌自体が人の体を蝕んでるんじゃないそうです。 まず最初のきっかけは溶連菌が傷口に入ることです。傷口から体内に侵入して、人によっては劇症化、急激に症状が悪くなることがあり得る。ささくれのような小さな傷から入ったと思われるという人もいるそうで、傷の大きさはあまり関係ないようです。
体内に入った溶連菌と戦うのは「白血球」です。そしてイメージとしては、「免疫」と呼ばれている司令官のような存在が、侵入した「細菌」の種類を見て、この量の白血球でいいな…というようにどれぐらいの戦力で戦うかという指令を出しているそうです。 白血球が戦っているとき、その痕跡が症状として現れることがあり、蚊に刺されたときに腫れるというのは戦ってるときの痕跡。風邪引いたときの熱が出るというのも、戦ってるからこその症状・痕跡なんです。ウイルスによって蝕まれて出る症状もありますが、戦っている痕跡もあるということです。 そんな中で、司令官である「免疫」が、細菌に対して過剰な防衛戦力・白血球で戦おうとすると、この過剰攻撃の反応こそが『劇症化』を起こすのだそうです。司令官が間違うことがあるんです。 つまり『人食いバクテリア』というと細菌自体が体を蝕んでいるように思いますが、実際のイメージでは『人食わせバクテリア』なのだということです。