2019年は「情報銀行元年」に? 個人と企業がデータをいかに管理し活かせるか
いかに情報を安全に管理できるかがカギ
ただ、一口に情報銀行といっても、情報を提供した個人が対価としてお金やサービスを受け取ることが想定されている色彩が強いところと、日々の生活向上と消費の活性化を促して、地域や社会が抱えるさまざまな課題の解決につなげる方向性が強いところに分かれます。 IT関連団体の連合体である「日本IT団体連盟」は、情報銀行に参入できる事業者を審査を経て3月中にも認定する予定です。審査にあたっては、情報を安全な環境で保持できるかや、パーソナルデータの使い道をユーザーが明示的に選択、決定、コントロールすることができるかがポイントになるとみられます。総務省と同連盟が昨年10月に共同開催した事業説明会にはビジネスチャンスを狙う企業とその関係者ら約200社、400人以上が集まり、経済界の関心の高さをうかがわせました。 情報銀行が円滑にスタートするためには、多くの消費者にその機能や役割、価値が正しく理解され、受け入れられることが不可欠です。活用の仕方によっては、非常に効果的で、新しいサービスやビジネスモデルが生まれる可能性を秘めているだけに、情報の取り扱いに配慮し、安心できる環境をつくることが肝心でしょう。 これに関連してDNPは、情報銀行技術の普及に向けて電機大手・富士通の協力を得て、企業や団体が参加、利用しやすいシステムプラットホームの開発や提供を行うことを1月下旬に発表しました。4月から段階的に提供する方向です。こうした関連ビジネスも生まれつつあります。
情報がどう使われているか分からない不安を可視化
注意すべき点があるのは、情報を提供する個人の側も同様です。お金やサービスを得るだけのために個人情報を安易に提供することは、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあることを忘れてはいけません。個人情報を情報銀行に預けるにあたっては、提供する情報を自分自身でしっかり選択し、提供したくない情報については明確に意思表示することが大切です。情報銀行は、個人から預けられた情報を企業などに提供しますが、その提供先は個人に明らかにされます。提供先での情報の使われ方についても、個人が十分認識しておく必要があります。 自分にとって大切な情報は、自分の意思でしっかり管理するというのが情報銀行活用の最も重要なポイントです。これまでは、自分の情報が世の中でどんな形で使われているのか分からないといった不安がありましたが、情報銀行の仕組みは、それを可視化するものといえます。それゆえに、望まない場合は「この情報は使ってほしくない」という明確な意思表示・コントロールができるような制度・環境づくりも、情報銀行の普及には重要です。 (3Nアソシエイツ)