「大江戸温泉物語」「湯快リゾート」が統合!料理&サービス革命の舞台裏
大江戸温泉でメニュー開発を担当しているのが、山口伸雄さん(49)。元々イタリア料理のシェフだった山口さんは、本場の名店で修業を積んだ。その後はシンガポールの有名ホテル「マリーナベイ・サンズ」で、エグゼクティブシェフも務めた本格派。その腕を見込まれて3年前、大江戸に引き抜かれ、味も見た目も手を抜かないバイキングを手がけている。今回の統合で大江戸、湯快全館のメニューを一新。山口さんは、その責任者を任された。
4月下旬。大江戸グループ全店舗のメニューを決めるテストキッチンでは、統合に先駆けて、9月から始まる「秋冬メニュー」の試作が行われていた。 湯快リゾート側の責任者、平山大臣さん(56)。平山さんは、京都の「下鴨茶寮」関連店などで修業を積んだ、筋金入りの職人。和食のノウハウで、「巻きずし」や「もつ鍋」など、日本人好みのメニューを用意していた。一方、大江戸側の山口さんも、イタリア仕込みの技術で、バリエーションに富んだ料理を提案。大江戸側は見た目も美しい10品、湯快側は大皿料理を中心に10品用意した。 和・洋・中がそろったシーズンメニュー…大江戸と湯快の料理部門トップをはじめ、全員で双方が持ち寄った料理を食べ比べ、より良いメニューを取り入れることに。
味の感想が飛び交う中、平山さんはいささか険しい顔。「サーモンは難儀かもしれない」。そう指摘したのは、山口さんが提案した具材を何種類も重ねたサーモンのユッケ風マリネ。「調理の工程を一個でも減らせないか」と提案する。 湯快は調理スタッフが少ないため、客が自ら取り分ける大皿料理が中心だった。平山さんは「人の問題があるし、手間がかかるものに慣れていない」と不安を口にする。 一方、大江戸側の山口さんも、「実際に再現性を担保できるというのも大事だが、オペレーション重視でお客様の意見を無視するような料理だったら、それは出さない方がいい」と譲れない。 最終的に、大江戸側が5品、湯快側が4品採用となった。サーモンのユッケ風マリネも選ばれた。 7月下旬。平山さんは、「湯快リゾート プレミアム 白浜御苑」(和歌山・白浜町)にやって来た。ここも4カ月後には、屋号が大江戸温泉物語に変わる。 集まっていたのは、近隣の「湯快リゾート」4軒の調理場関係者たち。 もう約1カ月後に始まる統一メニューについて説明に来ていたのだ。 平山さんは、「11月のブランド統合に向けて、大江戸・湯快、100パーセント同じメニューを提供する。ここが一番カギになる」と話し始める。