トランプがサインした大統領令に隠された真実とは? アカデミー賞ノミネートの続編ドキュメンタリー
フードシステムから浮き彫りとなるさまざまな社会問題
さらに、近年の食品事情を語る上で欠かせない変化が超加工食品の急増だ。 超加工食品は糖分、塩分、脂肪の摂りすぎに加え、製造方法にも危険性が隠れている。 成人の慢性疾患の元となるだけではなく、ここ10年でマイノリティの子どもの糖尿病発症率が2倍となるなど、その魔の手は確実に忍び寄っていることが紹介されている。
絶望だけではない、食をめぐる希望
こうした暴露をもとに疑問を投げかける一方で、アメリカ各地で沸き起こるフードシステム変革へのムーブメントが私たちに希望をもたらしてくれる。 アニマルウェルフェア向上や土壌保護につながる、太陽電池式の移動式畜舎を発明した農家。豊かな漁場と海洋環境に取り組むため大型船から降りて、昆布と牡蠣やムール貝を組み合わせた小規模養殖をスタートした漁師。 一部の人の手によって、着実にアメリカの未来は明るい方向へと向かっている。 本作は、単に食の真っ黒な真実を映し出すのみにとどまらない。 気候危機、人権、移民問題や貧困など、ありとあらゆる要素が複雑に絡み合って起きる“資本主義の歪み”を描いているのではないだろうか。 今や、スーパーに行けば季節関係なく世界中のありとあらゆる食品が容易に入手できる時代だ。 一方で、普段当たり前に享受している豊かさは、他の誰かの生活や心、地球までをも搾取して成り立っているものであることから目を背けてはならない。 このドキュメンタリーを通じて、消費者として毎日の食から持続可能な世界を探るヒントを得られるはずだ。
kagari