トランプがサインした大統領令に隠された真実とは? アカデミー賞ノミネートの続編ドキュメンタリー
先の米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が再選を果たし、大きく揺れ動くアメリカの未来。 【全画像をみる】トランプがサインした大統領令に隠された真実とは? アカデミー賞ノミネートの続編ドキュメンタリー アメリカ、ひいては世界の行く末について思いをめぐらすドキュメンタリー『フード・インク ポスト・コロナ』が、12月6日(金)より公開となった。 巨大企業の独占状態や移民の労働搾取問題など、アメリカ社会を取り巻く食品業界について紐解く作品だ。
アカデミー賞ノミネート作品の続編が16年ぶりに公開
実は本作には、2008年公開の『フード・インク』という前作がある。 フライドチキンやバーガーのパテの原料生産、ありとあらゆる食品の原料となっているコーン生産における闇を暴いた衝撃作は、第82回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた。 前作から16年。新作では、パンデミック以降のアメリカが舞台だ。 一見完璧に見えるフードシステムも、コロナ渦によりその不完全さが露呈することとなった。 当時は、アメリカでも毎日の食卓に欠かせない水やパンなどの食品が棚から姿を消した。作中でも「子どもに与えるミルクが手に入らない」と訴える母親たちの悲痛な叫びが捉えられている。 インフレが加速する一方で、アメリカの労働者の最低賃金は15年間ほとんど変わらない。 長くファストフード店に勤務するある女性は「日々の暮らしもやっとである」と語る。だが、皮肉にもその食品企業のトップが巨額の富を得ているという事実は、この国の深刻な貧富の差を具体的に表している。
トランプがサインした「大統領令」
さらに、ドナルド・トランプ氏がある大統領令にサインする姿も、市場独占の裏にある政府と大企業の関係を考える上で無視できないシーンだ。 事の発端は、2020年のコロナ禍。タイソン・フーズ社の食肉加工工場は、マスク着用規定はおろか、体調のすぐれない労働者が床に嘔吐して、そのまま作業に戻るといった悲惨な状況だった。 地元の保安官が工場の閉鎖を迫るも、タイソン・フーズ社は拒否。食肉加工業者らの根回しで、当時の大統領ドナルド・トランプ氏は国内の食糧供給を安定化を理由に大統領令を発令し、工場の稼働は継続されることとなったのだ。 この一連の流れは、アメリカ政府が食の安全よりも企業の利潤を優先することを象徴する出来事として、当時は大きな物議をかもした。