就活生の「追い風」はさらに加速、25年卒採用で見えた変化とは
就職・採用に関する調査、分析を行う、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第24回。今回は、25年卒採用の中間総括と、26年卒採用の見通しについて、調査データとともに見ていこう。 ● 2024年10月1日時点の就職内定率は 前年同月より3.9ポイント増 リクルートワークス研究所の調査によると、企業の採用意欲は25年卒でも堅調に推移し、25年卒の大卒求人倍率は前年から0.04ポイントアップの1.75倍となっています。従業員規模別では、300人未満の企業で6.50倍、5000人以上で0.34倍と開きは大きいものの、求人総数はすべての従業員規模で増加しています。 就職みらい研究所で2月から10月まで、毎月1日に調査している就職内定率は、どの月も前年より上がっており、現行の就活スケジュールとなった17年卒以降、最も高い数値を更新(8月1日時点は20年卒と同値)。2024年10月1日時点は95.9%と、前年同月と比べ3.9ポイント増加しました。企業の採用意欲の高さに加え、広く定着したオンラインによる採用プロセスの効率化が、要因の一つになっていると考えられます。 ● Webと対面の使い分けは より顕著になっている 25年卒から4類型となったインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムへの学生の参加状況はどう推移しているのでしょう。 制度の転換期となった25年卒を対象とした調査では、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムへ応募・エントリーした割合は86.0%と9割に迫る数字となっており、応募・エントリー社数の平均は12.40社となっています。参加した割合は84.7%、参加者数平均は8.72社でした。インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムへの参加が、業界や企業を知る重要なプロセスになっていることがうかがえます。
企業側の採用プロセスの実施率で前年より大きく増えているのが、個別企業説明会・セミナー(Web)と面接(Web)でした。前者は6.2ポイント増、後者は4.7ポイント増となっており、Webでの実施が広まっている様子が読み取れます。 選考フェーズに入ると、1次面接は「Webのみで実施」が34.3%となり、「対面のみで実施」の28.0%を上回っています。一方、最終面接になると「対面のみで実施」が74.8%と圧倒的多数に。最後の相互理解は対面で行おう、と考える企業が大半を占め、状況によってオンライン・オフラインが使い分けされていることがわかります。 ● 大手企業の半数以上が 「スカウト・逆求人型サービス」を利用 次に、企業側の学生への認知形成や広報の手段について見ていきます。 ホームページが約9割、就職情報サイトが約8割と上位を占める傾向は前年から変わっていません。その中で、前年から大きくポイントを伸ばしているのが、「スカウト・逆求人型サービス」で4.4ポイント増。「SNS(Facebook、X、LINE等)」も4.1ポイント増となりました。 「スカウト・逆求人型サービス」の実施率を従業員規模別で細かく見ていっても、300人未満から5000人以上まですべての組織で24年卒の数値を上回っています。5000人以上では58.2%(24年卒は53.7%)と半数以上が実施しており、300人未満においても23.7%(24年卒は19.4%)で4社に1社の割合で実施していることがわかります。人材不足が深刻な中で採用手法も多様化しており、応募を待つだけではなく、企業側から積極的にアプローチするといった姿勢の変化もうかがえます。 逆求人型の就職情報サイトの利点について、65.4%の学生は「知らなかった企業に出会えた」と回答しており、知らなかったけれど、自分の力を評価してくれそうな企業に出会えるという点で評価が集まっていることがわかります。