待ち望んだ新薬、しかし日本では未承認…「待っていられない」と独自に輸入する道を選んだ男性の奮闘と願い
その上で、「現在の問題点は産業政策。開発の早い段階から外資系のベンチャーに日本企業がしっかり投資、連携できるよう後押しをする必要がある。国内のベンチャーを育成する取り組みも重要だ」と訴える。 ▽海外ベンチャーとの早期連携に課題 トフェルセンの日本での承認申請について、バイオジェン・ジャパンの広報担当者は「現在国内申請に向けて当局と協議を継続している最中で、具体的な見通しについてまだお答えできない」と話している。 青木さんらは寄付を募る活動と並行して、患者団体の「日本ALS協会」と協力し、国内での早期承認を求め、署名活動にも取り組んだ。23年11月、集まった約3100人分の署名と要望書を厚労省に提出している。 署名と要望書提出後、厚労省で記者会見した青木さんは「私たちALSの患者には時間がない。トフェルセンが迅速に承認されれば、他の薬のドラッグラグ解消にもつながる」と訴えた。その後、署名が急増し、1万人分を超えている。今後はバイオジェンへの働きかけも検討している。
青木さんは「ALS患者は1日、1カ月、1年違うだけで体の状態が変わるし、生活の質もどんどん下がっていく。本当に私達には時間がない。今の日本のスピードでやってると、患者は誰も救われない」と訴える。「国には患者の現状にもっと目を向けていただきたいという気持ちがすごくあります」