米大統領選挙後の近未来を予測「もしトランプが再選したら」その時、日本はどうなる!?
ウクライナ戦争
トランプの論理によれば、彼がホワイトハウスを奪還したら、プーチンはウクライナから何でも欲しいものを奪える──プーチンは今、そんなふうに勇気づけられているだろう。 ロシアの反政権活動家アレクセイ・ナワリヌイの死によって、米共和党内には対ロシア政策をめぐり亀裂が生じている。 もちろんトランプは、ナワリヌイの死や彼が実刑に処せられていたことを非難していない。 一方、選挙戦でトランプが優位を保ち、戦場でロシアがウクライナを押し返し続ければ、ヨーロッパ諸国がウクライナへの支援を強化すると、私は予想している。 ヨーロッパのいくつかの国は既に、アメリカが支援に消極的になるのを目の当たりにして、ウクライナ支援に一層本腰を入れ始めている。 トランプが大統領に返り咲く可能性が高まれば、ヨーロッパの危機感はさらに強まる。 ヨーロッパにとっては、ウクライナの隣国モルドバの状況も無視できない。 もしロシアがモルドバ領内で親ロシア派勢力が実効支配する地域──「沿ドニエストル共和国」と自称している──を併合する事態になれば、ヨーロッパはそれこそパニックになるだろう。 1期目の政権でトランプがNATOに冷淡な発言を繰り返したときは、ヨーロッパ諸国が懸念を募らせて、国防支出を増額した。 再びトランプ政権が誕生すれば、ウクライナは苦しい状況に追い込まれ、ヨーロッパは米政権に抵抗するか閉口するかの選択を突き付けられることになる。
トランプの日本への不信感は根深い
【イスラエル】 トランプが当選することになれば、イスラエル支持の姿勢に反発してバイデンに背を向けた若い世代の動向が決め手になったと言われそうだ。 いま世論調査でトランプが先行している大きな要因は、一部の調査によると若者の支持率でバイデンを6ポイント上回っていることにある。 今までこの層の支持率はおおむねバイデンのほうが10ポイント以上高かったことを考えると、これは驚異的なことだ。 トランプ自身はパレスチナ問題に関してイスラエル側の立場に沿った発言を繰り返してきた一方で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を厳しく批判してもいる。これまでの言動を基準に、トランプが2度目の政権でどのような中東政策を実行するかを判断することは難しい。 しかし、私が意見を交わした元米政府当局者の言葉を借りれば、トランプは無知な道化というよりも、狡猾な選挙の天才だ。 若い世代のバイデン離れの流れを止めないために、あえて自身のイスラエル政策を曖昧にしていると、この人物はみている。