真実を教えよう! 米国がウクライナ追加支援を決めた「3つの隠蔽された目的」
2024年4月20日、米下院は総額953億ドルの大規模な支援策を可決した。そのなかには、ウクライナへの608億ドル、イスラエルとガザを含む紛争地域の民間人への人道支援に264億ドル、台湾とインド太平洋地域への81億ドルが含まれている。ウクライナへの援助は311対112で賛成多数となり、共和党の112人が反対票を投じた。24日に上院でも可決され、バイデン大統領の署名を経て成立した。 「移民法」のヤバすぎる中身…このままでは日本の「社会保障」が崩壊する 驚くのは、20日、ロイド・オースティン国防長官が声明を発表し、そのなかで、「本法案はまた、米国の将来に対する重要な投資でもある」と明言している点だ。「防衛産業基盤に直接流入する約500億ドルを提供することで、この法案は、米国の長期的な安全保障を強化すると同時に、30以上の州で良質な米国人の雇用を創出する」というのである。
ウクライナ支援で票を買うバイデン大統領
ジョー・バイデン再選につながる国内雇用のため、ウクライナ戦争支援にカネを出すというのは、「カネで票を買い、ウクライナで命を奪うということ」を意味していることになる。具体的にどの州が潤うかについては、4月18日付の「ワシントンポスト」が「議会が承認したウクライナへの軍事援助の大半が使われている地区の地図を掲載している(下図を参照)。 議会が承認したウクライナへの軍事援助の大半は、上記の地区で使われている (出所)https://www.washingtonpost.com/opinions/2024/04/18/ukraine-map-districts-weapons/
『ウクライナへの援助』の使い道
米戦略国際問題研究センターのマーク・カンシアン上級顧問は、2023年10月3日、「『ウクライナへの援助』のほとんどは米国内で使われている」という記事を公表した。それによると、これまで議会が承認した1130億ドルの配分のうち、「約680億ドル(60%)が米国内で使われ、軍と米国産業に利益をもたらしている」と指摘されている(下図を参照)。これは、下図の青、オレンジ、斜線の三つの部分を合わせたものということになる(「備考」を参照)。バイデン政権は、自らの政府機関への資金提供、米軍への資金提供の大部分、軍備の補填とウクライナの装備購入の大部分、人道支援の一部について、ウクライナへの「支援」や「援助」という名目で行っており、その資金は米国内にとどまる。このため、カンシアンは、「ウクライナ援助」(Aid to Ukraine)という言葉は「誤用(misnomer)である」と指摘している。 図 アメリカ議会承認済みのウクライナ支援の配分(単位:10億ドル) (出所)https://breakingdefense.com/2023/10/most-aid-to-ukraine-is-spent-in-the-us-a-total-shutdown-would-be-irresponsible/ (備考)青とオレンジはウクライナへの軍事援助で、青は対外援助法に基づいて大統領が軍事援助を提供するために大統領権限を行使してなされる物品などのウクライナへの移転(ドローダウン)を指し、オレンジは大規模訓練や役務の提供を指す。青色斜線(「軍事-アメリカ」)は、国防総省が受け取る東欧での軍事活動の強化や軍需品生産の加速のための資金で、大半は米陸軍に支払われ、米海軍と米空軍に支払われる金額は少ない。黄色は人道援助、水色はウクライナ政府が通常の政府活動を継続するための資金、緑色(「米政府と国内」)は核不拡散活動など、戦争関連活動向けに米政府の他の部署が受け取る資金を示している。