米大統領選挙後の近未来を予測「もしトランプが再選したら」その時、日本はどうなる!?
日本
科学的研究によると、人が好む音楽は、高校時代に親しんだ曲である場合が非常に多いという。 私はこの法則の政治版を提唱したい。ある人の外国に対する姿勢は、主としてその人が中年期に差しかかる時期に形づくられると、私は考えている。 トランプは1987年、41歳の時、アメリカの有力紙に日本批判の全面広告を掲載したことがある。 1期目の日米関係は、安倍晋三首相(当時)がトランプを心理的にうまくコントロールしていなければ、もっと緊迫していたに違いない。 端的に言うと、トランプは日本が好きではない。 それでも、故・安倍への親しみの感情と、日本政府の防衛力強化の動きを考慮すると、2期目にも日米関係がそれほど深刻な状況に陥ることはないと、私は考えている。 しかし、トランプの日本への不信感は根深い。意に沿わない日本側の政策や発言に逆上したり、中国やロシアの入れ知恵で日本への反感を爆発させたりすることはあり得る。
中国だけではなく、ドイツと日本の自動車産業も狙い撃ちに
【経済】 トランプが再び政権を握れば、敵対勢力にダメージを与え、支持層を潤わせるような経済政策を実行する可能性が高い。 実は1期目にもそうした行動を取っている。 税制改革により税控除が増やされたが、州税・地方税控除は大幅に削減された。 これにより主に打撃を受けたのは、カリフォルニア州やニューヨーク州など、税金の高い州の住人だった。 この両州は、民主党支持者が多い州である。 トランプは2期目の政権でも、自身の中核的支持層である白人労働者層──「忘れられた人々」とトランプは呼んだ──を喜ばせようと注力する。 具体的には、支持者へのアピールだけを目的に有害な関税を導入しそうだ。 標的になるのは、中国だけではない。ドイツと日本の自動車産業も狙い撃ちにされる。 トランプが当選した直後、地政学上の惨事と全般的な不確実性への不安により、金融市場は激しく動揺するだろう。 しかし、トランプは規制緩和と減税を推進し、その結果として相場は再び大きく上昇する。 株式投資では、旧来型のエネルギー企業の株を買うといいかもしれない。 【アメリカ社会】 中国の台頭を抑制するための軍事面の措置について言えば、トランプは、ロナルド・レーガン元大統領流の「力による平和」路線を全面的に追求し、国防支出の大幅な拡大を主張する可能性もある。 それとは逆に、国防支出の削減を主張し、ヨーロッパや日本や韓国に対して相応の負担を強く求める可能性もある。 いずれの路線を選ぶにせよ、トランプは自分の政策に対する忠誠を求め、不平不満を許さないだろう。 トランプへの忠誠に関して、共和党の政治家たちはとりわけ難しい立場に立たされる。 トランプに従順であり続け、アメリカが大切にしてきた価値観に背くのか。 それとも、トランプに異議を申し立てるのか。 私がアメリカの今後を比較的楽観している1つの理由は、数年後の共和党が現在の共和党より信頼できると思っていることにある。 前回の大統領選で敗れた後のトランプは、共和党の政治家たちにとって選挙でそれほど頼りになる存在とは言えなかった。 トランプが推薦した候補者が選挙で圧勝する、といった現象は起こらなかったのだ。 しかも、トランプは今回当選しても4年後に再選を目指せない。 その意味で、当選早々に「死に体」の状態になる。
安倍と外務省はトランプを巧みにいなしたが...
2026年の中間選挙が終われば、共和党の政治家たちがトランプに対する本当の思い──ほぼ例外なく否定的な意見だ──を公然と語り始める可能性が高い。 実際、最近引退した共和党政治家の大半は、トランプに批判的なことを述べている。 そんな反トランプの動きの拡大版が26年に巻き起こりそうだ。 【不確定要素】 1期目の時代に、日本ほど安定を享受できた国はほかになかった。 トランプを手なずける「達人」がいたからだ。安倍と外務省は、子供の心理に精通しているかのごとく、トランプの下劣な衝動を巧みにいなしていた。 2期目にも、これに匹敵する対応力を持った政府が日本やほかの国に登場するのだろうか。