若い頃の村上春樹がもし「多重人格サスペンス」を書いたら…こんな感じ? 大森望「私が選んだ本ベスト5」夏休みお薦めガイド(レビュー)
八潮久道『生命活動として極めて正常』は、人気ブロガーのデビュー作品集。全7編どれも面白いが、老人ホームの“姫”の座を目指してたゆまぬ努力を続ける78歳の男を描く「老ホの姫」と、人身事故に遭遇する確率がなぜか異様に高い運転士の話「命はダイヤより重い」が双璧か。今年のベスト短編集有力候補。
柳下毅一郎『皆殺し映画通信 ストライクス・バック』は、版元をフィルムアート社に移して出た、シリーズ第11弾。“現代日本のエクスプロイテーション・フィルムとは何か?”をテーマにした邦画新作レビューの2023年版にあたる。全32本のうち僕が観ているのは「Winny」1本だけだが、どれも観てきたような気分になれるので問題ない。村上賢司監督との赤裸々すぎる巻末対談も爆笑です。 [レビュアー]大森望(翻訳家・評論家) 協力:新潮社 新潮社 週刊新潮 Book Bang編集部 新潮社
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