【賛否】黒島結菜「事実婚で出産」が話題に…「未婚の母」「選択的シングルマザー」に法的なメリットはあるのか
2024年1月、俳優の黒島結菜さんが、パートナー関係にある俳優の宮沢氷魚さんとの間に第1子を妊娠したことを発表。同年7月に出産を報告しました。2人は妊娠発表時、「お互いに入籍という形にはこだわっておらず、現時点では籍を入れる予定はありません」と事実婚を選んだことも公表しており、黒島さんがいわゆる「未婚の母」を選択したことに、SNSでは驚きの声が多数上がっていました。 【画像】「実は他にもこんなにいた…!」 “未婚の母”となったことを明かした「芸能人・有名人」4人 昨今は芸能界だけでなく、自らの意思で「未婚の母」「選択的シングルマザー」として、あえて未婚のまま子どもを産み育てる女性が増えています。一方で、「未婚の母」を選択することに対しては、SNSなどを中心に依然として賛否が分かれており、「なんで籍入れないんだろう」「デメリットしかなくない?」「子どものことを考えたら、そう簡単に未婚を選べるものじゃない」「親の自分勝手な判断に振り回されるのはいつも子どもだよ」「未婚だからこそのメリットもあると思うよ」「これからの時代は、家族の形もいろいろあっていいのでは」など、さまざまな意見が聞かれます。 常に賛否ある「未婚の母」の選択について、佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士は「結婚しないまま出産すると、父子関係が不安定になる」と指摘します。法的に見た「未婚の母」のメリットとデメリットについて、詳しくご解説いただきました。
父親による「認知」がない限り…
結婚していようがいまいが、出産することにより、母子関係は明らかです。しかし、「父親が誰であるか」は必ずしも明らかではありません。 そこで、法は「婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」、また、「婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする」(民法772条1項)というルールを定めています。これにより、結婚後に妊娠・出産した場合、「夫が父親」と推定され、戸籍の父親欄には夫の氏名が記載されます。また、妊娠してから結婚する、いわゆる「授かり婚」の場合も同様に、「夫が父親」と推定されます。これらの場合に、父子関係を争うには「嫡出否認の訴え」を起こさなければならず(同775条)、この訴えは、原則、出生から3年以内に提起しなければなりません(同777条)。従って、結婚してから出産すると法的な父子関係は早期に安定します。 これに対し、結婚しないまま出産した場合、戸籍の父親欄は空欄になり、父親による「認知」がない限り、法的な父親は不在となります。認知がなければ、父親には法的な扶養義務がないため、養育費の支払いを法律上の権利に基づいて請求することができず、子どもは父親の法定相続人にもなれません。父親が認知しない場合、裁判所の手続きにより、強制的に認知を求めなければなりませんが、父が死亡して3年経過すると認知の訴えを提起できなくなります(民法787条ただし書き)。このように、結婚しないまま出産すると父子関係が不安定になります。