新首相・石破茂が考える政治が信頼を失った理由。「裏金問題で揺れた永田町。思い出されるのは、駆け出し議員だった時に起きたあの事件で…」
2024年10月27日、第50回衆議院議員総選挙の投開票が行われました。今後の政治情勢に注目が集まるなか、10月1日に第102代内閣総理大臣に指名された石破茂首相は、現在の世論について「政治改革に寄せる社会の期待感は、明らかに落ちている印象」と語っていて――。そこで今回は、石破首相が自民党総裁選に先駆けて綴った著書『保守政治家 わが政策、わが天命』より一部引用、再編集してお届けします。 【写真】「国民は、本当に自民党が反省して改革をしていくのかどうか、じっと見ている」と話す石破首相 * * * * * * * ◆日本の政治はどう刷新されるべきか 今の日本をどう見るべきでしょうか。 日本の政治はどう刷新されるべきなのでしょうか。 2023年秋から24年にかけて、永田町はパーティ券裏金問題で揺れました。 派閥のパーティ券を多く売った議員に対し、収入の一部を払い戻していながら、その収支を政治資金収支報告書に記載しなかった、という事実が明るみに出て、その払戻金が裏金として利用されていたのではないかという疑惑が生じました。
◆いま政治改革への熱気はあるか 収支の不記載は、形式犯と言えど明らかな法令違反です。しかも、政治におけるお金の流れの透明化という、政治が国民から信頼を受けるために大切なプロセスを、大きく損なうことになってしまいました。 検察の捜査結果も踏まえ、自民党として、なぜこんなことが組織的に長く続いていたのかをきちんと説明し、再発防止策も含め、国民が納得できるような対応策を前倒しで明らかにしていくことが大事だと思っています。 再発防止策としては、パーティ券購入者の公開基準を「5万円超」に引き下げることや政策活動費の使い道を10年後に全面公開することなどが盛り込まれた政治資金規正法改正が24年6月の通常国会で成立しました。 一歩前進だとは思いますが、なんとなくこれで一段落みたいな雰囲気にならないように自民党全体で心がけていかなければなりません。特に、事務所数やスタッフの数の制限など、お金があることで有利だということにならないための仕組みを含め、幅広い議論を継続すべきでしょう。 国民は、本当に自民党が反省し、改革をしていくのかどうか、じっと見ているはずです。手を緩めてはなりません。