欧米メディアは北京パラ開会式の異例“ピース“スピーチと「間に合ったのが奇跡」ウクライナ入場に注目…一方露メディアは代替大会の開催計画を報道
記事は「ウクライナは開会式前に到着した最後のチームとなった。スタジアムへ入場する前にチームメンバーたちは、他のアスリートたちから拍手を受け、『戦争を終わらせよう』、『ウクライナに平和を』と書かれた横断幕を掲げていた」と開会式の舞台裏を紹介。「ウクライナのアスリート20人と9人の関係者の代表団のほとんどが行進に姿を見せた。少なくともメンバーの3人が空に向けて拳を突き上げた」と、その様子を伝え、ウクライナ・パラリンピック委員会のスシュケビッチ会長の「間に合ったのは奇跡だ。今、ウクライナにいる人々のことを思っている。爆撃があり、何千人という人々が亡くなっている。我々は欧州、すべての世界にこの戦争を終わらせるようお願いしたい。一緒になって」というコメントを紹介した。 カナダのCBCは「平和のメッセージ。北京パラリンピックがウクライナでの戦争の影の中で開幕する」との見出しを取り、「パラリンピックが大会を象徴する聖火と同じくらい熱く切実とした平和への訴えと共に北京で正式に開幕した。ロシアとベラルーシのアスリートたちが、競技から除外された中でIPCのパーソンズ会長は、開会式でのスピーチで平和を訴えた」と伝えた。同メディアも、ウクライナ・パラリンピック委員会のスシュケビッチ会長の「道中で多くの障害を乗り越えてきた。我々のチームのメンバーの多くは爆撃や砲撃の炸裂がある中を逃れてこなければならなかった」という言葉を引用。ウクライナからの移動には、4日間かかり、最後の2日間は、背中の痛みを理由にバスの床で睡眠を取ったという。 英ガーディアン紙は、「IPC会長が開会式でウクライナ戦争を非難」との見出しを取り、「パーソンズ会長が、この何十年における五輪、パラリンピックの開会式で最も政治的なスピーチのひとつを行った」と伝え、スピーチの内容を報道した。 さらに「こうした行事(開閉会式)では、慎重なコメントのみが発せられるのが、何十年もの伝統だったが、パーソンズ会長は、それを投げ捨てた」と評価。 「彼は大声で怒鳴るかのように出した『ピース(平和)』の言葉でスピーチを終えた」と最後の締めのシーンを取り上げた。 さらに「2014年のソチ大会でウクライナの冬季パラリンピックチームは、ロシア軍のクリミア半島への侵攻に際して(パラリンピックの)開会式にアスリートを1人だけしか送らないという象徴的な抗議を行った。8年後、彼らの国はロシアから再び攻撃にさらされ、(開会式での)シーンは大きく違っていた。中国到着で緊張感に包まれた代表団全員の前をヤロビーが国旗を掲げた。その一方で、ロシア代表団は大会から除外されたことに対する法的な即時申し立てをせずに中国を離れることにすると発表した」と付け加えた。 一方、ロシアのメディアは、開会式でのパーソンズ会長のスピーチ内容を伝えることはなく、15日からソチでコモンウェルス諸国の国際大会を開催し、そこに北京パラリンピックから除外され6日に北京を離れる予定のロシア、ベラルーシの選手団が出場する計画があることを報じた。