八坂神社の門前町・祇園を宿泊者限定の早朝ツアーで楽しむ
OMO5京都祇園 by 星野リゾート(京都府京都市)
OMO5京都祇園は、八坂神社すぐの祇園商店街にある。観光客が行き交う通りから暖簾をくぐると、別世界のように落ち着いた雰囲気に。鰻の寝床のごとく奥へと続き、フロントやロビーが連なる。 門前町の茶店を模したというロビー「OMOベース」には、ガイドブックには載っていない穴場店満載の「ご近所マップ」が壁に広がる。 客室は地上2階から7階に全36室ある。エレベーターホールなどからは、街を見晴らし、京都が山に囲まれていることがわかる。キッチン付きの客室が多く、調理はもちろん、京都らしい仕出し料理や鍋などが楽しめるのもうれしい。 OMOはスタッフが毎日行うガイドツアーが名物だ。地域の「おもしろい人・こと・モノ」と出合わせてくれる。 OMO5京都祇園では、宿泊翌日の朝6時30分から「祇園うるわし朝まいり」ツアーを行っている。 案内を担当するOMOレンジャーの山本楓菜さんは、「〝うるわしい〟という言葉には、美しいだけでなく、人に感銘を与えるさま・整っている・本物であるという意味があります」と説明する。 「うるわしい」をテーマにしながら、門前町で花街が発展してきた流れや季節の行事をOMOレンジャーと楽しく学ぶ。
まずは「ご近所マップ」の前で、祇園の歴史などを教わる。 祇園という町の名の由来は、祇園社とも言う八坂神社の起こりに遡り、それは656年に渡来人が当地に素戔嗚尊(すさのおのみこと=牛頭天王〈ごずてんのう〉)をお祀りしたことによるそうだ。 八坂神社は〝祇園さん〟と呼び親しまれる京都屈指の古社。日本三大祭のひとつ、7月の祇園祭では、都の安寧を脅かす疫病の退散を祈願するために、神輿渡御(みこしとぎょ)の神事などが行われ、地域が一体となる。 朝まいりでまず向かったのは、花見小路だ。八坂神社の門前町として四条通の南北に発展した通りで、格子造りや犬矢来がある町家造りのお茶屋、料理店が並ぶ。石畳の通りは近年、電線が地中に埋められたそうで、すっきりした印象。観光客でごったがえす日中の風景を忘れるほど、凛とした美しさが漂う。 屋根に立つ守り神の鍾馗(しょうき)様、玄関にかけられた「蘇民将来子孫也(そみんしょうらいのしそんなり)」の護符、プライバシーに配慮した町家の簾(すだれ)など、通りを歩くだけで人々の暮らし中に信仰や工夫が根付いていることを感じる。 京都五山の第三位の建仁寺から、左手に続く緩やかな坂道を進むと、今度は安井金比羅宮が見える。ここは第75代崇徳(すとく)天皇を祀り、良縁結びと悪縁切りのご利益で知られる。参拝スタイルも独特だ。