小林悠との月一の食事、太りにくい体質、食べる遅さ、世代別代表での10番の責任。福島の期待の星・大関友翔の魅力とこれから【インタビュー3】
「点が取れるミッドフィルダーになりたい」
一つひとつの質問に的確に答え、こちらの意図も汲んでくれる。 以前から10代とは思えないコミュニケーション能力、言語化能力の高さが際立ち、それも中村憲剛ゆずりと感じていたが、本当はそうでない一面もあるのだという。 「いや結構人見知りはするんですよ。ある程度の良い関係性を築くまでは固いというか。先輩の人に対してはグイグイいける面もあるんですが、同い年とか後輩には何を喋れば良いか分からなくなる時もあって。世間話をするのは苦手かもしれないですね」 いやいや、と突っ込みたくなるが、本人の自己分析はそうらしい。ただ、川崎時代には17歳離れたFW小林悠とのこんなエピソードもあった。 「シーズン途中からは悠さんとは月一くらいで、食事に行っていました。実は悠さんとは一緒に脱毛に行っていて、そのまま食事に連れて行ってもらったりしていたんです。その後は『寮の他の選手も誘って良いよ』と言ってもらえたので、行きは悠さんに乗せてもらい、帰りは寮の選手の車で帰ってくるという形でしたね。悠さんのプライベートな話や熱いサッカーの話を聞かせてもらい、勉強になることばかりでした。それと川崎界隈では有名な悠さんの“ポンコツ話”も大好きでした」 福島でもそんな人たらしぶりは発揮していそうだが、初のひとり暮らしで、料理にも挑戦しているという。「両親や寮母さんのありがたみを感じる」日々を過ごしているとも話すが、最近はクラブがお世話になっている旅館(一柳閣)で食事をご馳走になることもあるのだとか。 ただひとつ問題が。食べるのが異常に遅く、筋肉も付きにくい体質だというのだ。 「食事は人の3倍ぐらい時間がかかるんです。夕食だったら1時間半ぐらいかかりますかね。これはみんなに聞かれるんですけど、喉が細いんだと思うんです。だから一気に食べると詰まっちゃうので、ちょっとずつ。 それに太りにくく、量はみんなと同じだと体重が増えないので、プラスアルファして食べています。だから今は食べるか、寝るか、サッカーをするかのほぼ三択ですね。体重は今、64キロくらいですが、70キロは超えたいと思っています」 スラっとした体形に、相手に力負けしない筋肉の鎧も付けていく。それが今後のテーマでもあり、改めて目指す選手像も口にする。 「簡単に言えば点が取れるミッドフィルダーになっていきたいです。そして攻撃で違いを作れる選手になりたい。今の時代、走れて守備もできるのは大前提で、その中でやっぱり攻撃面を評価してもらえる選手を目指したいですね。 日本代表(A代表)にもいつか入りたいですし、今はアンダーの代表で、各国の選手とプレーさせてもらい、基準やスケールが違うと実感しています。そんな彼らと日常から対戦するため、レベルアップするため、いつかは海外挑戦もしなくちゃいけないと思いますが、自分はまだそう言えるほどの活躍はできていないと自覚しています。だからこそ今はまず福島で結果を残し、J2昇格に貢献するのが使命だと思っています」 そして寺田監督の下、様々な攻撃のアイデアを示しながら相手を崩すサッカーに改めて楽さを覚えていると笑顔も見せる。 「4-3-3で、みんな流動性を持ってプレーしていて、恐らくJ3のなかでも、なかなかないスタイルなのではないでしょうか。自分の特長にも合ってると感じています。 (寺田)周平さん(監督)の下、チーム全体で目指すべき方向性も揃っていますし、しっかり積み上げていけているので毎日が楽しい。前に進んでいるスピード感もあります。なかなか勝てない時期もありましたが、やっているサッカーが間違っているとは思わないですし、自信を持って挑めています。 自分自身もクロスから得点も取れていますし、2列目からの飛び出しもより意識できるようになっています。インサイド(ハーフ)からフォワード追い越すランニングは有効なので、さらに増やしたいですね」 練習を行なっている十六沼公園天然芝グラウンドにはクラブハウスがなく、シャワーも簡易的なものだが、スタジアムも含めて素晴らしい芝生が広がり、サッカーに集中できる環境が揃っている。そしてクラブとして前に進もうとする活気に満ちている。 8月31日(土)のホーム北九州戦(18時キックオフ)では、5000人を集客しようとの盛り上がりも見せている。大きな伸びシロを感じさせるクラブと新進気鋭のMF。その相乗効果は要注目である。 ■プロフィール 大関友翔 おおぜき・ゆうと/2005年2月6日、神奈川県生まれ。真福寺FC―FC多摩ジュニアーFC多摩Jrユース―川崎U-18―川崎―福島。新時代の司令塔。トップ昇格した川崎ではなかなか出番を掴めなかったが、今季レンタルで加わった福島では中盤の欠かせない存在として活躍を続ける。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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