なにわ虎男子 阪神D2位・今朝丸裕喜に宿る〝稲穂精神〟 報徳学園・大角監督「いつまでも謙虚に」
阪神の新入団選手にスポットをあてた連載「なにわ虎男子」はドラフト2位・今朝丸裕喜投手(18)=報徳学園高=が登場。かつて江夏豊氏も背負った28番をつける最速151キロ右腕は同高の大角健二監督(44)からの言葉を大切に人気球団に飛び込む。(随時掲載) 実るほど頭を垂れる稲穂かな-。今朝丸が大切にしている言葉がある。 「稲穂精神がなかったら、自分は天狗になっていたと思う。大角先生がよく言うんですが、校長が偉いとか社長が偉いとかじゃなくて。トップになるほど謙虚に…。稲穂精神を生かして、謙虚のままでいたい」 ドラフト会議で指名された後、報徳学園高・大角監督から「大切にしてほしい」と改めて送られた。選抜大会で2度の準優勝を経験。高校生ナンバーワン右腕という看板をひっさげて球界屈指の人気球団に飛び込む。周囲の期待が高くとも、結果を残せなければ数年後には去らなければいけない世界。〝最後の教え〟に今朝丸はうなずいた。 大角監督は「プロ野球が目標じゃない。まだまだ活躍してほしいので、そのためには皆さまの応援が大事になってきます。いつまでも謙虚に頑張ってほしい」と話した。今春の選抜大会準決勝では大阪桐蔭の強力打線を相手に5安打1失点で完投勝利。初回にピンチを招いたが、堂々としたマウンドさばきで成長した姿を見せつけた。 「冬を越えて、甲子園でもう一度大阪桐蔭とやりたい気持ちがあった」 今朝丸にとっても指揮官にとっても、忘れられない大阪桐蔭戦だった。 昨年10月28日。近畿大会準決勝でも対戦。2年生だった今朝丸は6回⅔を投げて、10安打4失点と打ち込まれた。反省すべき点は投球内容や結果ではなく、マウンド上での立ち振る舞い。チラチラとベンチや大角監督の顔ばかりうかがっていた。「打者に全然、集中できていなかった」と今朝丸。指揮官からは「このままじゃプロに行けないぞ」と厳しい言葉を投げかけられた。「マジか…と。メンタル的にマイナス思考になっていた」 広島・小園ら多くの教え子がいる指揮官の言葉は今朝丸の心に深く刻まれた。それでも心が折れることなかったのは中学時代に所属したクラブチーム、関メディベースボール学院で学んだ考え方があったからだった。(萩原翔)