夫の転勤で地方に引っ越しましたが、アルバイトの時給「948円」って安すぎませんか? 物価はあまり変わらず生活が苦しいのですが「転職」すべきでしょうか…?
アルバイトやパートなどの時給を都市部と地方で比較すると、その金額の違いに驚くことがあります。特に東京など首都圏に暮らしている人が地方に引っ越すと、アルバイトの募集記事に出ている金額が大きく違うことにショックを受けるかもしれません。 一方、スーパーなどで買い物をすると、野菜や卵などが都市部と大して変わらない金額で売られていて「地方なら生産地が近いから安いと思ったのに……」とがっかりすることもあるでしょう。 本記事では、都市部と地方の最低賃金と物価の違いについて解説するとともに、時給が安すぎる場合に転職することが有効かどうか検証します。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
最低賃金とは? 都会と地方ではどれくらい違う?
最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、雇用する側は最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。最低賃金は都道府県ごとに異なり、毎年10月に見直しや改定が行われます。 厚生労働省の「令和5年度地域別最低賃金改定状況」によると、最低賃金が最も高いのは東京都で1113円、最も安いのは岩手県の893円となっており、金額にして220円、約2割の差があります。 最低賃金は継続して毎年引き上げられており、令和5年度の全国加重平均は前年度から43円(約4.5%)アップの1004円となりました。しかし1000円超えは都市部の8都府県のみにとどまっています。「948円」は都市部と比べると確かに安めですが、全国的に見ると極端に安いわけではないようです。 総務省「消費者物価地域差指数 小売物価統計調査(構造編)2022年(令和4年)結果」によると、物価水準について全国平均を100とした場合、最も高いのは東京都で104.7、次いで神奈川県で103.1と、2都県が突出して物価の高い地域となっています。 一方物価水準が最も低いのは宮崎県で96.1、次いで群馬県の96.2です。 これを見ると「やっぱり都市部は物価が高い」と思うかもしれません。しかし、最高の東京都と最低の宮崎県では指数上では8.6の差で、1割未満です。都市部でも関西圏や中部圏との比較であれば、さらに差は小さくなります。 前記の最低賃金の地域別の差が最大で約2割だったことを考えると、都市部と地方においては、物価の差は賃金の差ほど大きくない(あまり変わらない)といえます。 都市部では家賃や住宅取得費などが高くつきますが、地方では比較的安く済みます。一方で、地方は1人に1台ずつ車が必要な場合がありその購入費や維持費がかかりますが、都市部では公共交通機関が発達しており地方に比べて車のニーズは低いといえます。暮らし方の違いで生活にかかる費用の種類が異なるため、地方は物価が安いと一概にいえないのが現状です。 想定よりも高かった地方の生活費をまかなうため、転職して時給アップを目指すことについて考えてみます。時給の高い「職種」に着目して仕事探しをするのがよいでしょう。 株式会社マイナビ「アルバイト平均時給レポート(2024年3月度)」によると、平均時給が最も高い職種は「医療・介護・保育」で1513円です。前年同月比が最も高いのは「エンジニア・サポート・保守」で16.7%も上昇しています。 生活に身近な「飲食・フード」も1115円で前年同月比4.2%増と、2023年7月以降9ヶ月連続して過去最高額を更新しています。また、2024年問題へ対応を求められている「配送・引越・ドライバー」の平均時給は調査開始以来最高の1229円になっているとのことです(数値はいずれも全国)。 採用に意欲的で時給も上がっている職種を選べば、地方であっても、転職することで収入増につながる可能性は十分あります。