6歳で亡くなった娘が教えてくれた”一度しかない人生”で、子どもたちとの触れ合いを通じて自立援助ホーム開所へ
「もしかしたら、私の人生は明日終わるかもしれません。これは娘に教えられたことです。だから私は、今やりたいことをやると決めました」 【写真8枚】大人の虹まなの一コマ(画像提供:林さん) にこやかな笑顔で語るのは、元小学校教諭で『NPO法人にじまち』の代表、林ともこさん。自立援助ホーム『ななほし』のオープンに向けて急ピッチで準備を進めているところです。 「通常は立ち上げに最低でも2年はかかると言われるので、とんでもないスケジュールです。具体的に取り組み始めたのが昨年(2023年)の12月でした。5月にオープン予定なので、本当に大変な状況です」 林さんの住む滋賀県長浜市には自立援助ホームがありません。その必要性を知り、後先考えずに走り出したといいます。 今回は林さんに、自立援助ホーム『ななほし』開所に至った経緯や熱い思いを伺いました。
『あ~ちゃんの虹』出版を経て子どもたちと再び向き合う決心
2013年、文芸社から出版された1冊の書籍『あ~ちゃんの虹』。執筆したのは、林さんです。 娘さんのあ~ちゃんこと明音ちゃんは先天性の難病である総動脈幹遺残症を抱えて生まれてきました。小さな体で度重なる危機を乗り越えてきたあ~ちゃんでしたが、2011年12月4日にわずか6年の生涯を閉じました。 あ~ちゃんは「もう笑うことはできない」と医師から告げられた後でも笑顔を見せてくれたそうです。何度も奇跡を起こし、その度に周りの人を笑顔にしてくれました。林さんにとって、あ~ちゃんの笑顔はとびっきりの魔法でした。 あ~ちゃんが亡くなる前に出版社からの依頼を受けて執筆を始めた林さんでしたが、原稿を書き上げる前にあ~ちゃんは帰らぬ人となります。 一時は執筆を諦めたとのことですが「この子のことを書けるのは私しかいない」という思いを胸に、涙ながらに最後まで書き上げたと語ってくれました。 林さんはたった6年間の娘さんとの生活から多くのことを学び、今でも多くの気付きを得ているとのこと。書籍出版後には講演の依頼もあり、命や生き方についてのメッセージを多くの人に届け続けています。しかし、娘さんが亡くなってからは何年間も子どもたちと直接関わることはできませんでした。 変わるきっかけができたのは、長浜市内のこども食堂『まんま』との関わりです。こども食堂で子どもたちと触れ合うようになり、林さんは小学校の非常勤講師として復帰することを決意しました。 出産前までは正職員として勤務していましたが、非常勤講師の立場からはまた違った気づきがあったと言います。 「非常勤講師のときはサポーターのような存在でした。いろんな子どもたちから多くのSOSが飛んでくることに気がつきました」 子どもたちからのSOSに応えることで、新たな気づきも生まれました。