中国の「気候変動対策」が日本を圧倒する4つの理由 歴史認識と政策が生み出すギャップとは?
中国の気候対策先行理由
気候変動の影響が顕著である。ここ数年の間でも異常高温や豪雨といった極端な天候や、熱帯気候域の拡大、漁業資源の変化が生じている。 【画像】「なんとぉぉぉぉ!」 これが自衛官の「年収」です! グラフで見る(8枚) その対応をみると日中には格段の差がある。中国は ・電気自動車 ・太陽電池 ・電力用蓄電池 といった脱炭素化投資に熱心であり国を挙げて進めている。日本のように及び腰ではない。 なぜ、中国は気候変動対策で先行しているのだろうか。 その一要素として 「歴史認識の影響」 もあるのではないか。殷(いん、紀元前16世紀頃~紀元前1046年)は気候変動にともなう社会混乱で滅びた。その認識もまた対策を促進する要因となるからである。
中国が先行する三つの理由
なぜ、中国は気候変動対策で日本よりも進んでいるのだろうか。 その理由を整理すれば、次の三つにまとめられる。 ひとつめは「関心の高さ」である。かつては国土の砂漠化、その後には大気汚染や水質汚染が社会問題となった。その経験から環境問題に敏感であり、気候変動と対策を重視する要因となっている。 世論は対策で一致している。中国言論規制の影響もあるだろう。ただ、国を挙げて気候変動問題に取り組む素地(そじ)となっている。 対して、日本には気候変動を小ばかにする雰囲気が残っている。さすがに以前のような全面否定論はない。ただ、今でも「他国が炭素を出すので無駄」との混ぜ返しや 「経済も大事」 との言い方で水を差そうとする、いわゆる現実主義的な主張も少なくない。 そのため世論の盛り上がりはそがれる。いきおい、社会の動きも悪くなるのである。 ふたつめは「指導力の差」だ。中国は指導部、共産党政治局が指示すれば政府以下は従う。そして、今の指導部は気候変動を重視しており「緑色低炭」政策を進めている。中国政治体制の是非はおくが、気候変動対策が強力に推進される理由である。 日本の場合、政治主導でも徹底できない。気候変動なら経済界や、その威を借りる経済官庁の抵抗を排除できず骨抜きにされる。 三つめは、「対策の余地が大きいこと」である。まず再エネに向く砂漠以下の土地があり、太陽光や風力技術で世界の先頭を走っている。加えて炭素削減に向く天然ガス利用の有利もある。四川以下の国産ガスや中央アジア産ガスを山元から全国の消費地までパイプラインで運ぶ仕組みができている。 日本は自由度が少ない。再エネは既存の土地利用とどうしても競合する。天然ガスは液化天然ガス(LNG)輸入であり液化コストがかかる。パイプライン輸送網は新潟を含む関東だけだ。