国民に媚びるな、それは一番いけない――杉良太郎が考える、日本の未来に必要なこと
仕事ができなくても、最低限、うそを言わない人じゃないと
阪神・淡路大震災や東日本大震災など、多くの災害に際して、杉はヘリコプターやトラックをチャーターして救援物資を被災地に運ぶなど、行政レベルの支援活動をしてきた。そんな彼が求める政治家像はどんなものなのか。 「仕事ができるできないの前に、最低限、うそを言わない人ですね。これがもう絶対条件です。ウクライナに侵攻して『軍事作戦』と言う大統領もいる。いや、戦争じゃないか、侵略してるじゃないか、殺してるじゃないかと。私は長年、法務省特別矯正監として刑務所を見てきましたが、昔と今とでは犯罪傾向が変わっています。うそをつくことの罪の重みが軽くなっているように感じる。うそをつくということは、だますということでしょ?それは詐欺じゃないですか。政治家に期待するものというのは、最低限、うそをつかないこと」
杉がこれまで慈善活動に費やしてきた金額を聞くと、数十億円を超えるという。自身が選挙に出馬しようとしたことはないのか問うと、「ないです」と即答する。 「出馬要請は、25歳のときから8回ぐらいあったと思います。大都市の市長選、衆院選から参院選まで。でも、最初からまるでそういう気がないので、『ちょっと考えます』とさえ言ったこともありません。元総理大臣に『自分の立場があるから、すぐ断らないと約束してくれ』と言われ、大物議員たちがたくさん自分のところへ来て、『君に出馬してほしい』となった時も、私はすぐに『出ません』と返した。元総理から『すぐ断るなって言ったじゃないか!』と叱られましたね」 杉が政治家になることにまるで興味がないのには理由がある。民間外交に専念するためだ。 「アメリカやヨーロッパのエンターテイナーは、みんな国家のために、海外で公演してました。そういう意味で、私も海外公演をたくさんやってきました。『政治や経済だけでは国民はついてこない。文化でお互いを理解し、尊重し、交流をすることが重要』とアメリカ、中国、ブラジル、もちろんベトナムなど様々な国で活動してきました。中国での活動では寄付するお金が足りなくて体を担保に1億円を借りたこともあります。まさに覚悟を持って文化の力で国家間に風穴を開けてきました」