「発汗が増えた」「情緒が不安定に」更年期症状と判断が付きにくく怖い病気とは…病院を受診するべき症状を医師が解説
2019年に厚生労働省が発表したデータによると、日本人の平均寿命と健康寿命の差は男性が8.73年、女性が12.7年だそう。これは寝たきりや要介護状態など、自立した生活ができない状態で過ごす期間が「男性は8.73年」「女性は12.7年」あるということです。そのようななか、「更年期をどう乗り越えるかが、のちの人生を左右する」と話すのは、医師の森勇磨先生。その森先生、「あなたの不調の原因は、更年期ではない可能性がある」と言っていて――。 【表】更年期と間違えやすい病気は!? * * * * * * * ◆更年期症状と間違えやすい「バセドウ病」 あなたの不調の原因は、更年期ではない可能性もあります。 更年期症状とよく似た症状の出る代表例が、「甲状腺疾患」です。 甲状腺はのどぼとけの下にある臓器で、蝶が羽を広げたような形をしています。ここで「甲状腺ホルモン」というホルモンが作られています。 「バセドウ病」は、この甲状腺ホルモンが異常に多く作られることで、新陳代謝が過剰になる病気です。バセドウ病になると、炎症による腫れにより、眼球が飛び出して見えるという特徴があります(眼球突出には個人差があります)。 バセドウ病の症状に共通しているのは、心身が活発になりすぎることです。その結果、脈が速くなったり、発汗が増えたりするほか、情緒が不安定になることもあります。このあたりの症状が、更年期症状と間違えやすい点です。
◆更年期症状と間違えやすい「橋本病」 反対に、甲状腺ホルモンが減ってしまうことで起こる病気が「橋本病」です。 橋本病では、甲状腺に炎症が起こることによって徐々に甲状腺が破壊され、甲状腺ホルモンの分泌量が低下していきます。それが原因で脳の動きが鈍くなったり、むくみや冷えの症状が出たり、髪の毛が抜けたりといったことが起こります。 甲状腺の機能が落ちることで血の巡りが悪くなり、便秘になったり、代謝が悪くなって太りやすくなったりすることもあります。 オンライン診療をしていると、最初から自分の症状を更年期によるものと判断して、薬を求めてこられる患者さんがときどきいらっしゃいます。 その際、私はまずは採血をしてもらい、甲状腺に異常がないかを確かめるようにしています。それほど、更年期症状と甲状腺疾患の症状は見分けるのが難しいのです。 人間ドックのオプションで甲状腺のチェックを追加できることもあるので、気になる方は一度検査してみるのがよいでしょう。