母を妊娠させたのは私の夫。最愛の家族に裏切られ絶望に突き落とされた。誰も幸せにしない不倫の行く末は…【書評】
夫に不倫され復讐を心に誓う妻が主人公の作品を読んだことがある人もいるだろう。証拠を集めて離婚を突きつけ、慰謝料をもらうというのが一般的な「サレ妻」作品の流れだ。しかし、夫の不倫相手が自分の身内…ましてや実母だったとき、その問題は複雑に入り組んでいく――。 【漫画】本編を読む
『43歳の母を妊娠させたのは私の夫でした』(サレ妻くるみ:原案、きなりみや:漫画/KADOKAWA)は、夫と実母の不倫により主人公が奈落の底に突き落とされる物語だ。非常にスッキリしないストーリーに、不倫は誰も幸せにしないのだと思わされる。 主人公の野崎くるみは、かわいいお嫁さんになることが夢だった22歳の主婦。1年の交際を経て、夫の和也と15歳の歳の差婚をして幸せに暮らしていた。そんなくるみの父は地方の大学教授で、単身赴任をしている。実家でひとりで暮らす母の様子を見るため、くるみは和也を連れて度々実家を訪れていた。
母に会いに実家を訪れたくるみは、トイレのゴミ箱の中で使用済みの妊娠検査薬を見つける。陽性の反応を見て母が妊娠していることを知ったくるみは、自分に年の離れた弟か妹ができるのだと喜んでいた。43歳のくるみの母は成人した娘と姉妹に間違えられるほど若々しいので、父との子どもを授かったのだと考えるのも自然なことだろう。しかし、ぎくしゃくとした母の言動に疑問を感じて父に連絡を取ったことで、母が妊娠したのは父の子どもではないと知ってしまう。
母が妊娠した子どもの父親は一体誰なのか。そんな疑問を解消するため、くるみは母を問いただすことに。「同窓会で酔いつぶれて、気づいたらホテルで男性が隣に寝ていた」と泣きながら言い訳をする母だったが、その話は何とも嘘臭かった。さまざまな疑惑が生まれていく中で、くるみはなぜか和也が平日の昼間に母しかいない実家を訪れていることを知ってしまう。 絶対に何かがおかしいことには気づいていても、きっと思い違いだと信じようとするくるみ。母の不倫疑惑で家族が壊れてしまうかもしれないのだから、目をそらそうとするのも当然の反応なのだろう。しかし、真実は残酷なものでしかなく、くるみは奈落の底に突き落とされていく。