「負ける相手じゃない」井岡一翔が“確たる”自信、大みそかに因縁の相手とダイレクトリマッチ その勝算は?
■「気持ち一つ、戦い方一つで大きく変わる」
情熱と冷静のほどよい融合――。そこを絶妙にコントロールできるのが井岡のはずだったが、七夕の夜ばかりは勝手が違ったということか。それとも達人にしか分からない微妙なズレがパフォーマンスに影響を与えたということだろうか……。 いずれにせよ、決戦の舞台は再び整えられた。第1戦のスコアは116-112、117-111、120-108。マルティネスがはっきりと勝利している。井岡にどれほど勝算はあるのだろうか。この件に関して本人は自信を持ってこう言い切った。 「僕が戦っていた感覚と、マルティネス選手が戦っていた感覚は、本当に紙一重だったと思います。向こうも余裕を持って『オレは大差で勝った』というマインドではなかったと思う。お互いのやりあった中での感覚は、ああいう大差が出るような試合ではなかったですよ」 井岡は「だからね。戦い方なんですよ。負ける相手じゃないと思いましたから」と続け、具体的な例を挙げた。 「たとえばマルティネス選手はガードが固い。それは彼の強さですけど、倒そうとするあまり、自分の攻撃も良くなかったんです。同じような攻撃ばかりしてしまった。空間も作らずに打ち込んで、自分で自分のパンチも殺してました。だから全然、相手に力が伝わっている感覚がなかった。そういうところは、気持ち一つ、戦い方一つで大きく変わります。次は前回とは違った面白さを見せられると思います」 井岡が大みそかのリングに上がるのは実に7年連続13度目となる。35歳のベテランは「ここまできたからには、世界チャンピオンというより、井岡一翔としてやり切るしかない。井岡一翔の人生を見せたい」と語った。七夕に始まったストーリーは、どのような形で大みそかに完結するのだろうか。