25歳で安藤サクラと結婚、親子でピンク映画を鑑賞→母から言われたことは…柄本佑(38)と家族の“特殊な関係性”〈『光る君へ』最終回〉
けっして失わない映画への情熱
それでも、映画への情熱はけっして失わなかった。2023年には本格的な監督作品となる短編映画集『ippo』を公開し、さらに長編映画を撮る夢を追い続けている。結婚6年目に子供が生まれてからは観る本数はさすがに減ったというが、現在でも映画はDVDや配信などではなく映画館で観るよう心がけているようだ。それというのも、昔、父から勧められてエリック・ロメール監督の『緑の光線』をビデオで観たもののいまひとつピンと来なかったのが、しばらくして名画座で同監督の特集上映があったときに改めて観たところ、同作が圧倒的に面白くて、「映画は映画館で観るものなんだ」と痛感したからだという(『ピクトアップ』2022年6月号)。 6年前のインタビューでは、「たくさんの映画を見るという経験は、俳優業にも大きくつながってくるわけですよね」と訊かれ、《それはもちろん。魚屋さんが魚の目利きができなくてどうするんだって思うんです》と答えていた(『文學界』2018年9月号)。そういう職人気質なところはやはり父親譲りと思わせる。それにしても、『光る君へ』で大役を演じきった息子に、父・柄本明はどんな感想を抱いたのだろうか。気になるところである。
近藤 正高