25歳で安藤サクラと結婚、親子でピンク映画を鑑賞→母から言われたことは…柄本佑(38)と家族の“特殊な関係性”〈『光る君へ』最終回〉
「師匠なんで親父に『ダメだ』と言われたらゼロなんです」
柄本は別のところでもこのときの公演を振り返り、《お客さんやマスコミにどれだけ評価されようが、師匠なんで親父に『ダメだ』と言われたらゼロなんです。時生とは『怖いものがなきゃ、面白くならないよね』と。怖くもあり、安心感もあり……そうして親父が元気でいてくれるのは、ありがたいことですよ》と語っている(『女性自身』2021年2月16日号)。 よその舞台や映画・ドラマに出演したときも、父は《ダメだったときだけ、メールがきます。「あんな芝居やってんならやめな」とか「見たよ。もう慣れちゃったの?」とか》というから(「ダ・ヴィンチWeb」2022年7月23日配信)、これほど厳しい存在はない。親子の関係を知るにつけ、伝統芸能だけでなく、現代演劇の世界にも相伝というものはあるのかと思わせる。 父がそんなふうなので、兄弟で互いの演技についてあれこれ言うことはないらしい。そもそも柄本は自分の出演作を観るのと同じくらい家族の出ている作品を観るのも苦手だという。妻の安藤サクラとも、《不自然じゃない程度に、あの作品はおもしろかったよとか感想を言い合ったりはしますけど》そのぐらいだとか(「ダ・ヴィンチWeb」前掲)。
もっとも、安藤とは、婚約中に義父の奥田瑛二の監督映画『今日子と修一の場合』でW主演したほか、結婚後もたびたび共演してきた。直近では、CSの時代劇専門チャンネルで放送・配給され、長らく時代劇を撮り続けてきた井上昭監督の遺作となった映画『殺すな』(2022年)で、駆け落ちして人目を忍んで暮らす男女を演じている。
妻・安藤サクラとの“特殊”な関係性
柄本たちと同世代にも俳優夫婦は多い。しかし、二人のように結婚後も共演を続けるケースは珍しい。それは、多くの俳優のなかには照れという以前に、劇中で演じている姿に私生活のイメージを結びつけられることへの懸念があるからなのかもしれない。 『殺すな』の柄本と安藤はさすがに上手で、二人とも物語のなかの人物を、それぞれが抱えた背景までうかがわせるように見事に演じきっている。それでも時折、仕事から帰った柄本を安藤が夕食をつくって待っていたりと私生活を匂わせる場面もあって、ちょっと生々しさも感じさせる。 当の柄本も、自分たち夫婦はどうも特殊らしいということは自覚しており、《うちは役者夫婦にしては希有なパターンらしいんですよ。佐藤浩市さんに言われたのですが、俳優同士の夫婦は仕事の浮き沈みでの嫉妬がありがちだけれど『お前たちはうまくいっていて気持ち悪いな』だそうです(笑)》と語っていたことがある(『クロワッサン』2021年8月25日号)。