25歳で安藤サクラと結婚、親子でピンク映画を鑑賞→母から言われたことは…柄本佑(38)と家族の“特殊な関係性”〈『光る君へ』最終回〉
夫婦で大切にしているのは…
妻の安藤は、《私と佑君はお互いのことに踏み込まないんです。家の中での過ごし方もそれぞれで、その距離感は大切にしています。特に子育てが始まってからは夫婦や親子であることに捉われずに、暮らしています。だってせっかく大好きな人が誰よりも近くにいるのに“夫婦”とか“親子”という関係だけじゃもったいないじゃないですか》と語っているが(『フィガロジャポン』2022年3月号)、それが夫婦がうまくいっている秘訣なのだろう。そうしたスタイルも元をたどれば、お互いに干渉しない柄本家から彼女が学んで、《私がエモトナイズされた結果かもしれません》という(同上)。 前出の『殺すな』には、柄本が映画の世界に憧れるきっかけとなった勝新太郎の妻・中村玉緒が特別出演していた。勝もまた、父親が長唄三味線方の杵屋勝東治、妻だけでなく兄の若山富三郎も俳優という芸能一家の一員だったが、ときに世間の常識を踏み外すほどの豪放磊落ぶりで鳴らした点で柄本とは異なる。 時代が違うから、と言ってしまえばそれまでだが、柄本の場合、生活あってこその仕事という意識が強い。そこには、彼がデビュー映画の撮影ですっかり現場の楽しさを知って学校がつまらなくなっていたとき、母・角替和枝から言われたという「いま楽しいのはいいけれど、そのうちきっと、現場がしんどくなるときがくる。だから学校生活を大事にしなさい」との言葉が生きているようだ。
芝居の上手い下手よりも大事なこと
《時は経ち、大人になってひとり暮らしをはじめた頃に学校時代の同級生に会ったら、彼はスーツで会社に行っているのに、自分は撮影がない時期だったこともあり、浮き足立ってたんですよね。そのときにふと、日常をきちんと送ることこそが自分と社会を繋ぎ留めてくれ、それがあって初めて役者という仕事ができる、ということが理解できた。母が言っていたのは、こういうことだったんだな、と。以来、ちゃんと着替えるとか、部屋を汚くしないとか、シンクに食器を溜めないとか(笑)、小さなところから地盤を作り、それが今日に繋がっている気がします。芝居の上手い下手よりも、生活者であることのほうが、役者には大事なんだと思います》(『anan』2024年3月20日号) コロナ禍で自粛生活を余儀なくされたときには、初めのうちこそパジャマを着たまま動画を見るだけで1日が終わっていたが、受け身で楽しむだけでは限界があると気づくと、家族の食事をつくる暮らしに仕切り直したという(『ESSE』2021年9月号)。