アルテミス計画の有人月面探査車「LTV」NASA施設でモックアップ使用のテスト実施
こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターに集結した有人月面探査車「Lunar Terrain Vehicle(LTV)」のモックアップ。LTVはアメリカ主導の有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」向けに、NASAが選定したアメリカの民間企業3社によって開発が進められている探査車です。 NASAがアルテミス計画の有人月面探査車「LTV」を開発する企業3社を選定(2024年4月5日)
モックアップを使ったLTV最初のテスト工程が完了
写っているのは向かって左からVenturi Astrolab(ベンチュリ・アストロラボ)の「FLEX」、Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)の「Moon RACER」、Lunar Outpost(ルナー・アウトポスト)の「Eagle」の各モックアップです。 日本で開発が進められている有人与圧ローバーとは異なり、LTVは与圧されたキャビンを持たない非与圧式の車両で、宇宙飛行士は月面活動用の宇宙服を着用して搭乗します。NASAによると、電力管理、自動運転、最先端の通信・ナビゲーションシステムに支えられたLTVを利用することで、月の南極に降り立った宇宙飛行士は広範囲にわたって探索を行い、科学機器を運び、月面のサンプルを採取できるようになります。また、LTVは遠隔操作に対応するため、宇宙飛行士が月面に滞在していない期間も無人の探査車としてNASAの科学的目標のサポートや商用の月面活動に使用可能とされています。 3台のモックアップは2024年9月にジョンソン宇宙センターへ運び込まれ、2024年12月に同センターの低重力環境を模倣する施設「ARGOS(Active Response Gravity Offload System)」で最初のテスト工程が完了しました。このテストではARGOSで再現された月面の低重力(地球の約6分の1)の下、与圧服を着用したNASAの宇宙飛行士とエンジニアがモックアップに乗り込み、乗降のしやすさやディスプレイ・手動操作の扱いやすさの評価、探査用ツールの保管や科学装置の展開といった作業を実施。また、緊急事態を想定して、宇宙飛行士が単独で別の宇宙飛行士を救助する状況もシミュレートされました。 LTVはArtemis計画で3回目の有人月面探査が行われる「Artemis V(アルテミス5)」ミッションから使用される予定です。NASAはArtemis Vに先駆けてLTVの性能と安全性の検証を月面で行う技術実証ミッションに向けて、2025年に提案依頼を発行する予定だということです。 Source NASA - New Commercial Artemis Moon Rovers Undergo Testing at NASA
sorae編集部