久保建英、中国戦でも圧倒的な存在感…スペインリーグでの自信からプレーに幅、周囲の選手を生かすプレーもできるように
◇コラム 大塚浩雄の「C級蹴球講座」 ◇19日 サッカーW杯アジア最終予選C組第6戦 中国1―3日本(中国・アモイ) インドネシアに4―0で大勝し、中国戦も3―1で勝利。日本は中3日のアウェー2連戦を7得点1失点で2連勝した。その中で、この日の中国戦で存在感を示したのは久保だった。 中国はホームにもかかわらず、4―3―1―2の強固なブロックで守りを固めてきた。9月の埼玉で7失点しているだけに、当然の策。その上、本来なら68メートルあるピッチの横幅を65メートルほどに狭めて、日本のサイド攻撃に対応しようとした。 立ち上がりから圧倒的にボールを支配しながらもなかなかシュートに結び付けられない。そんな日本に大きな先制点をもたらしたのが久保だ。前半39分、右サイドでボールを受けると、カットインして左足でシュート。GKの好セーブにあったが、CKを獲得した。この左CKで、久保は絶妙のキックを繰り出し、小川の先制ヘッドを生み出した。 前半追加時間6分には、久保がいいタイミングで伊東に縦パスを繰り出し、伊東がクロス。これがCKとなり、伊東のキックを最後は板倉が決めた。さらに1点差に詰め寄られたあとの後半9分、またも久保が伊東に縦パス。フェイントで相手をかわした伊東が絶妙のクロスを上げ、これを小川が決めた。 最近の久保は所属するレアル・ソシエダでもキレキレのドリブルで大暴れしている。そして中国戦でも先制点につながる個の力を見せつけた。それだけではない。この日の久保は、伊東の力を存分に引き出すパスを連発した。絶妙のタイミングとパススピード。伊東は気持ちよくプレーし、右からの攻撃を軸に中国の堅いブロックを崩していった。 久保は「とにかく狭かったですね。多分テレビで見るよりも相当狭くて、相手もスライドを意識して、広いピッチでもここ何試合かスライドの力でしっかりカウンターから点を取ってきているので、それでピッチが狭くなると余計に、並大抵のヨーロッパのチームよりも速いイメージが僕の中でもありましたし、ちょっとびっくりしました」と振り返った。そんななか、個の突破力だけでなく、周りの選手を生かすプレーヤーとしての幅の広さもみせた。 以前の久保は、オレがオレがの意識が強すぎて独りよがりのプレーが目立った。しかし、最近は周囲の選手を生かすプレーもできるようになり、出た試合ではしっかりと存在感を示している。特に、中国戦でみせた伊東とのコンビネーションは、最終予選に入ってから最も機能していた組み合わせではないだろうか。 スペインリーグで実績を重ねることで、久保のプレーからは自信と余裕が感じられるようになった。そしてプレーの幅も広がってきた。日本のエースへ。楽しみな23歳だ。 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)
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