フランスにおけるシーズン最後のラインレースはデマール、フィリプセン、ピーダスンなど強力なスプリンター勢が出場予定【Cycle*2024 パリ~トゥール:プレビュー】
見どころは、なにもシュマンだけではない。未舗装路を前後するように──うち5つはセットで──短い上り坂も、全部で8つ散りばめられている。たとえば残り27.9km、コート・ド・ロシェール(登坂距離400m、平均勾配9.8%)からのヴェルヌーの白い道(第3セクター、全長900m)は、間違いなく、邪魔者を振り落とすのに最適なポイントになる。 フィニッシュラインは、昔から、トゥールの市街地を貫くグラモン大通りと決まっている。以前は、2kmを超える最終ロングストレートでのスプリント勝負こそが、最大の見ものだった。ただ道の北側にトラムが敷かれたせいで、2011年以来は800mの短距離決戦場に変わっている。
現行スタイルになってから、アルノー・デマールは2021年・2022年と連覇を成し遂げた。1年前は序盤に飛び出した5人の逃げ切りを許し、大会史上初の3連覇を逃したが、現役最多4度の表彰台乗りを誇るフレンチスプリンターは、今年も優勝候補の一角に挙げられる。
最大のライバルは、おそらくヤスペル・フィリプセンとマッズ・ピーダスンだろう。現役屈指の俊足スプリンターにして、この春ついにミラノ~サンレモ優勝でモニュメントタイトルホルダーとなった前者は、大会3日前にドイツのワンデーを勝ち取った絶好調の脚で乗り込んでくる。5年前の世界王者である後者は、レースが厳しくなればなるほど、強さと速さが光るタイプ。初めてのジャパンカップに向かう前に、初めてのパリ~トゥール獲りに挑む。
アルノー・ドゥリーは、過去2大会は途中棄権に終わったが、今度こそ優勝候補としての馬力を見せたい。今年いまだ勝ち星なしのクリストフ・ラポルトは、勝利でシーズンを美しく締めくくりたいと意気込む。 1年前に「研修生」ながら勝利をさらったライリー・シーハンは、2年連続で衝撃を作り出せるか。また1年半前のひどい落車事故から、ようやく8月半ばに戦線復帰を果たしたタコ・ファンデルホールンが、ついに10月2日、自慢の独走で復帰初勝利。ぜひパリ~トゥールでも、元気に逃げる姿を見せてほしいものだ。
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