新型BMW X2は見た目も中身も激変!!! 進化したドイツ製SUVに迫る
フルモデルチェンジを受けた新しいBMW「X2」の走りは、爽快だった! ポルトガルで試乗した小川フミオがリポートする。 【写真を見る】新型X2の内外装を細部までチェック(68枚)
伸びやかな最新SAC
BMWの“SAC”とはなにか? BMWのX2がそれにあてはまる。スタイリッシュなクーペデザインを採り入れたSUVで、機能一辺倒のSUVに飽きたひとが、食指を動かしているジャンルだ。 2代目にフルモデルチェンジしたX2がワールドプレミアとして発表されたのは、2023年10月の「ジャパンモビリティショー2023」。BMWは日本市場に期待しているあらわれだろう。 2024年2月にはポルトガルで「X2 M35i xDrive」のジャーナリスト向け試乗会が開催された。気持ちのよいクルマだった。 パーソナル性の強いSUVに惹かれるひとが注目するSACとは、スポーツアクティビティクーペの頭文字をとったもの。1960年代からスポーツクーペを得意としてきたBMWらしく、SUVの分野でも、これまで「X6」や「X4」を成功させてきた。 新型X2のスタイルも、流れるようなルーフラインと、あえて小さく見せたキャビンによって、軽快感が強い。かつ、今回から一部モデルに用意される21インチ径の大径ロードホイールに組み合わされたタイヤによるしっかり感がよい。 リスボン近郊のサーフィンのメッカ、カスカイス近郊でドライブしたX2 M35i xDriveは、233kWの最高出力と400Nmの最大トルクを発生する2.0リッターエンジンに、全輪駆動システムを組み合わせる。ガソリン仕様だと、日本にはもう1モデル、X2 xDrive 20i(150kW、300Nm)も導入されるが、とりあえず、高性能モデルでX2の実力を強調しようということだろう。
ガソリンモデルの優位性
足まわりはやや硬めだったが、ハンドリングは正確で、加速のよさも期待を裏切らない。とくに「マイモード」と名付けられた新世代のドライブモードで「スポーツ」を選ぶと、ドライブしている私とクルマとが一体になったような気持ちよいドライブが味わえる。 わずかなアクセルペダルの踏み込み量での加速性、私の意思に忠実に効くブレーキなどもよい。開発担当者に確認すると「(基本プラットフォーム共用の)新型X1に対して足まわりやステアリングなど、よりスポーティに設定したせいでしょう」(プロジェクトリーダーのメールダッド・ババイ)とのことだ。 マイモードはおもしろい概念で、くわえて、「エフィシエント」がいわゆるエコ(BMW的にはエコプロ)で、従来のコンフォートモードは細かく「パーソナル」「リラックス」「デジタルアート」と、分けられた。音や室内の照明の色などでも変化をもたらす。 私は、スポーツモードに感心しつつ、エフィシエントモードが好みだった。少しずつ全体の操作がゆるやかになり、アクセルペダルを踏み込んだときの反応速度と、トルクの出方がすこしおだやかになるモードだ。 「もっと速く走れ!」などと車両に追い立てられるような気分がなくなり、いっぽうで、カーブが連続する山岳路でも、しっかりとしたドライブが楽しめる。高速道路ではもちろん静粛性も高く、おとなっぽいモード設定に感心した。 X2シリーズには、今回、ピュアEVの「iX2」も設定された。スムーズな加速性能や、500km近い航続距離などメリットも多いが、それに対してガソリン仕様では、床下に駆動用バッテリーをもたない分、後席のフットスペースが広くなり、荷室も深くなるなど、実用性も重視したい向きにはありがたい設計となっている。 後席シートは分割して前後にスライドし、足元を広くすることも、またいっぽうで荷室容量を大きくとれる。これもガソリン仕様であるX2のメリットといえる。 もうひとつ、オーナーをめざしているひ人へのニュースがある。インフォテインメントシステムのOSが刷新されたことだ。「BMWオペレーティングシステム9」と、名付けられ、いわゆるウィジェットを使って、さまざまなアプリケーションにアクセス出来るうえ、音声によるコマンドを重視した操作が強化された。 新型X1から導入されたのを機に、今までの円筒式コントローラーは廃止。私はドライブしていて、つい探してしまった。OS9は従来のリナックスでなく新たにグーグルアンドロイドをベースに開発されたものだ。 メリットは「サードパーティのアプリも入れられるようにするのが目的なので、アンドロイドのほうが開発者の多様性が期待できる」(OS9開発担当者)と、説明を受けた。 実際に、画面に並んだアイコンのワンタッチでアプリが呼び出せるし、正確なボイスコントロールシステムもあり、新しい感覚だ。新型「5シリーズ」や「7シリーズ」より最新のOSで“武装”したX2による、新世代のドライブは、体験する価値アリ!
文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)