尹大統領に現職初の拘束令状発布 近く執行へ=内乱首謀などの容疑
【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル西部地裁は31日、独立捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」が内乱首謀と職権乱用権利行使妨害の容疑で請求した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束令状を発付した。現職大統領に対する拘束令状が発付されるのは憲政史上初めて。 公捜処は近くソウル・竜山の大統領公邸に向かい、拘束令状の執行に乗り出すとみられる。地裁は大統領公邸に対する捜査令状も発付した。 裁判所が拘束令状を発付したのは、犯罪を証明する段階までは至らないが、罪を犯したと疑われる状況がある程度認められると判断したためとみられる。 国会で「非常戒厳」の解除決議案が可決されることを防ぐために戒厳軍と警察を動員して国会を封鎖し、違憲・違法な布告令を発令し、国会議員や中央選挙管理委員会の職員を令状なしで逮捕・拘禁しようと試みるなど憲法秩序を乱す目的で暴動を起こしたため、強制捜査は避けられないという公捜処の主張を受け入れたものと分析される。 尹大統領の指示を受けた戒厳軍と警察の上層部が相次いで逮捕され、捜査が進められている点も影響を与えたようだ。 さらに、尹大統領が公捜処の度重なる出頭要求に応じなかったことで、強制的に身柄を確保せざるを得ないと判断したと受け止められる。 尹大統領は今月18日と25日に続き、事実上最後通告となった29日の3度目の出頭要請にも応じなかった。出頭要請書の受け取りを拒否し、不出頭の理由書も提出しなかった。弁護士の選任届も拘束令状の請求後に裁判所に提出した。 尹大統領側は公捜処と検察の重複捜査を巡る議論が続いているなか、現職である尹大統領の身の安全や警護問題について協議が行われなかったために出頭できなかったと反論したが、裁判所は受け入れなかった。 また、公捜処には内乱罪の捜査権限がないため、拘束令状を請求したのは違法だとする主張も認めなかった。 公捜処が尹大統領の職権乱用容疑を捜査することは適法であり、これと関連のある内乱罪についての捜査も可能だと裁判所が判断したことで、捜査の適法性を巡る議論は収束しそうだ。 通常、拘束令状の有効期間は発付された日から1週間だが、尹大統領は現職の大統領として大統領警護処の警護を受けており、執行にあたっては物理的な衝突が発生する可能性も浮上する。 過去には盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に政治資金法違反容疑で拘束令状が発付された韓和甲(ハン・ファガプ)元民主党代表、李仁済(イ・インジェ)元自由民主連合議員が党員らの阻止により令状を執行できず、在宅起訴された例がある。
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